戻すよりも戻す前に
どうしてこうなったのかはさておいても、このままなのはやっぱり良くない。
だから今は、どうしたら元に戻れるかを考えるべきなんだと思う。
「で、こうなりました」
「どうしてこうなった」
即答された。もしやサソリさん、これで三度目の説明なのに聞いていなかったのだろうか。
「どうしたら体が戻れるかを考えていました。私の体になったサソリさんを見ながら」
「で、どうしたらこうなるんだ」
「見ていたのが不覚です。サソリさん、あなた」
私の体を何日放置していたんだ
よれよれの服はもちろん、髪なんかもボサボサだ。
ついでに見なくても分かる。この人、臭うよ!
「戻る前に戻った頃には取り返しのつかない事になるじゃないですか!せめてお風呂入って下さい」
「風呂なんてもんは必要がねーんだよ」
「それはサソリさんの体だけでしょう私の体には必要不可欠です!」
そうしてこうなった訳だ
好きな人と浴室に二人きりという、ドキドキな展開。
誰かやって来てしまえば弁解のしようもない。むしろやって来たら何もかも話さなければならなくなりそうだ。
こんなにドキドキする事は他にないであろう。
「良いですか、絶対に目開けないで下さい私の体なんですからねサソリさん」
「テメーのつまらねー体なんざ頼まれても見ねーよ」
「…………!」
何に腹が立ったかなんて、ちょっと期待してた自分に腹が立った。
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