好きと嫌いは紙一重なのだ
「おい旦那、このままだと名前取られるぞ飛段に」
せっかく機会を作ってやったのに何してたんだ、とデイダラは言った。
何してたんだって
そりゃ私の体したサソリさんがサソリさんの体した私に愛の無いムチを入れてたんだと言ってやりたい。
「このままで良いのかよ、サソリの旦那」
「………………。」
そりゃ私だってサソリさんに聞きたいくらいだ
このままが続くのかって。
「好きなんだろ？」
好かれたかった。
いや、好かれたいはずなのにサソリさんの愛の無いムチが、愛すら忘れさせた。
「もう好きじゃ………」
「ねーのかよ？そりゃ旦那だもんな、こうなるって分かってたぜ」
あの旦那に惚れたのがそもそも間違いだった。
なんて思えば、サソリさんが好きだったんだと思うのと同じことでそれこそ間違いだ。
あんな人を好きだったなんて、絶対に間違いだ。
「もう好きじゃねーなら、さっき名前がサソリの旦那を必死に探し回ってたって報告する必要もねーよな。うん」
「…………！」
「あんなに必死な名前初めて見たが旦那にゃ関係ねー話だよな」
「…………！」
「旦那？おい、まさか」
好きじゃないなんて間違いだ。
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