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悪いよ、悪い

殺さないで下さい…!

我ながらサソリさんの体で命ごいとは似合わないと思った
あまりにも似合わなすぎていくら好きな人の体だとはいえ、寒気が走ったくらいだ


「旦那に名前……何してんだ」

そう思ったのは私だけでは無かったらしい。

似合わなすぎる叫び声につられてやって来たあいつも、引き攣った顔をしていた。

「今の旦那…じゃねーよなさすがに。オイラ、幻術でも見たみてーだ」

私とサソリさんを交互に見て、あははと笑うあいつ。
いっそう幻術なら良かった

それなら笑えたのに、笑っていたのはあいつだけだった。


「幻術………か」
「?」

馬鹿みたいなこいつの言葉にサソリさん、何やらピンときたようです

「何らかの術にかけられて入れ代わったって考えるしかねーよな」

無理がありますとは言えず


この人、ピンと閃いた考えと入れ代わりにここがアジトの中だと忘れていないだろうか。


「誰が、何のためにですか」

「…………………。」

「もう一度聞きます」

なんて言うと、無言でギロリと睨まれた。やっぱりこの人、私の体してるけどサソリさんだ

「いくら自分の体を忘れようとここがアジトの中だって事は忘れちゃならないでしょ」

「逆だろ」


そしてスッパリと一刀両断に冷たい声でツッコまれた。やっぱりサソリさんだ。

「同じ暁の人間がどうして、そんな術をかけるんですか!」

だいたいそんな、夢みたいな術を持ってる人間が犯罪者に居るものか
仮に居たなら一言、言いたい。ありがとうって。


「あのさ……二人ともさっきから何話してんだよ、うん」

「…うわ居たのかデイダラ」

「いやずっと居たって」

そんな奴は居ないが、こいつが居た事を忘れていた

うっかりこの夢みたいな入れ代わりを悟られてはマズイぞ。夢が潰されかねない。


「デイダラごめん、ちょっと向こうに行ってて……じゃない。向こうに行ってろよサッサと消えろウゼーちょんまげが目障りだ」

「……!」
「……!」

デイダラも驚いてたけど、サソリさんも何故だか驚いた顔してた。

「し、心配して来てやったのに……旦那なんかもう知らねーからな!」

「………おい名前、テメー今のは何だ」

「え、サソリさんを演じたんだよ完璧に」

「……………。」

サソリさんは何も言わなかった
本当はただ一言、俺はそこまで言わねーと言いたかったのかもしれない。

他人から見た自分とは、他人になってみなくては分からないものなんだって、この時少し分かったみたいにサソリさんは何も言わなかった





悪いのは果たして。

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あきゅろす。
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