魔王の計画 31 キーンコーンカーンコーン… 場にそぐわないチャイムが教室に響き渡る。しかしこの場の殺気は消えない。 「おい、お前ら誰に逆らってんのか、分かんねぇ訳じゃないよな?…俺はお前らを相手にしてる暇はない」 堂上が二人の後ろにいる優子に殺気を飛ばす。 「………」 ……俺は、本当に何もしていないんだが。しかも今の状況はまたっくもって意味が分からない。 この二人は何故、俺を庇っているんだ…?さっきの女子もそうだ。俺を庇う理由が無い。 「堂上先輩…いや、堂上、優ちゃんが上履きをこんなにした証拠はないんだろ?」 「はっ!」 堂上が鼻で笑う。 「上履きには「トップはお前らじゃない」と書いてあった…そんなこと思ってるのはこいつだけなんだよ」 床に落ちている上履きを見れば…確かにそう書いてある。そこだけは読めるようにか切り刻まれていない。 「それは憶測だろ?…優ちゃんがやったという証拠はないぜ」 洋太がにやりと笑う。 …こいつ馬鹿じゃないのか?自分でケンカは強くないと言っておきながら俺を庇って…。自分の今の状況を分かっているとは思えない。 「優ちゃん、俺が守ってやるから安心しろよ。ボコボコになっても守ってやるからな…」 益々笑みを深くして優子に笑いかける。サングラスが怪しく光った、気がする…。 「そうだ!優ちゃん強いっつっても、女の子だしなっ!」 岩崎も優子に笑いかける。 「え……」 何だこいつら……いったい何があった… 「上等だっ!そいつを殺る前に…お前らを殺ってやるよっ!!!」 堂上が拳を振り上げた。 おいおいまてまて… 「下がってろ」 バシィ!! 俺は二人を押しのけ、迫ってくる堂上の拳を受け止めた。 「!?……何だ、やっぱりお前がやったのか?」 「やってはいない…だが、」 「……認めろよ」 堂上が殺気立つ。 「守られる趣味はない」 ドガッ!! 「ぐっ!?」 俺の膝蹴りを受けて堂上が呻く。 「優ちゃん!?」 岩崎が後ろで困惑した声を出す。 洋太が後ろで小さく舌打ちしたが、運良くそれは誰にも分からなかった。 「っ…てめぇは、俺らに恨みがあるんだろ!?こんな汚いやり方しやがって…!勇也は、こんなことされてっ………お前は、そんな奴じゃないと思ってたんだけどな…!!」 再び堂上が拳を握った。 俺はどんな風に見られてたんだ… [*←][→#] [戻る] |