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かわいい我儘―キリエ エレイソン様に提出したお題。スパナ夢。

私、氷之咲 紫騎。

ミルフィオーレのメカニック担当。


…といえば聞こえはいいかもしれないけれど……


「紫騎」
「はいっ」


今日も今日とて、
とある上司の我儘につき合わされているのです……





「そろそろ休憩にしよう。」←とある上司

彼の掛け声によって変わる休憩時間。


ふぅ
一息ついて時計をみる。…只今14時45分。



「スパナ、3時のおやつ」
「食べる。」
「…了解です。」


いつも彼…スパナが必ず必要とする時間がこれ。

頭の回転には甘いものがいい、という日本の言葉があると伝えたら

「…確かにそうかもしれない」


感心した上で設けられることになったおやつの時間。


…子供か、と突っ込みたくなるような時間だが本人は

とても楽しみにしているようなので部下である私としては何も言えない。


実際、私も息抜きになってるし。



「今日は カントゥッチーニ アッレ マンドルレ が食べたい」

「えっ!?」



難易度の高そうなお菓子来た!



「もしもしスパナさん。何語デスカ?」

「イタリア語だ。難しそうな顔しなくてもいい。ようはビスコッティだ」

「ビスケットみたいなもの??」


首をかしげるとスパナは笑った。

どうやらちょっと違うらしい。


「ビスコッティは二度焼きすると言う意味だ。
乾燥焼きしてカリカリに生地を仕上げる。」

「へえ。クッキーに近いのかな。」
「材料に油脂は使わないけど。」



ふむふむ。イタリアのお菓子も美味しそうだね。



「それって作るの難しいの?」

「いや、難しくはない。」

「…じゃあ作ってみます!…何か生地に練りこむ?」

「ああ。アーモンドが一般的だが抹茶フレーバーも食べたい。」


「和が好きですよね本当に。…分かりました、
上司の我儘に答えるのも部下の努めですから」



一生懸命、作らせて貰います。

そう告げると彼から思わぬ発言が飛んできた。



「?我儘か?」



……


……




自覚なかったんですか!!



てっきり毎日毎日注文してくれるから
上司の職権乱用かと思ってたんですけど。


「…我儘じゃないとしたら、どういうおつもりで?」

「……お願い…」



「拒否権はあるってこと?」

「それはないな。」




やっぱり我儘じゃないですか!










「はい、できました。なんたらなんたらビスコッティ」

「違う、カントゥッチーニ アッレ マンドルレ」


「そのなんたらかんたらマンドルレですが、フレーバーは
アーモンド、抹茶、チョコレート、パイナップルを用意しました。」


「おお!」


出た、輝く目!

釘付けです。釘付け。


じっとお菓子見すぎ。きっとお菓子も照れちゃってます。



「綺麗に焼けてるな。いただきます」

「どうぞ。飲み物はアイスティ、抹茶、緑茶、コーラがありますが?」


「緑茶」
「了解です。」


あったかいお茶を煎れ、彼の元へ持っていく。

既に一本は皿の上から消えていた。


「どう?」

「美味い。」


「…そうですか。それは良かった。」


彼の笑顔に私も目を細める。
上司のご機嫌が良くなる理由は大抵2つ。



いい発明品生み出した、あるいは
見ちゃったときと美味しいお菓子食べたとき。


そして私がお菓子を作るのは…喜んだ顔がみたいからかな?

あまり表情のないスパナが笑うのってあまりないし。



「紫騎も食べるか?」
「当然です。味気になりますし。」

「ん。あーん」
「しなくていいですから!!…いただきます」



あまりにびっくりした私は自分でひとつとって口に運んだ。


きっと今顔赤い。不意打ちだ。

そう思いながら勢いよくお菓子を噛むと



「…あ」

イタリア産アーモンドの香ばしい香りと
生地のさくさくした食感が口に広がる。


「美味しい」

「だろ?」

「ぷっ、得意そうに言われてもね」



自分が作ったように誇らしげな顔する上司に笑う。


「明日も楽しみにしてる」
「…さあ、作るか分からないですよ〜」


なんて言ってみる。

けどなんだかんだいってお願いされたことは引き受けちゃうんだよね。



…それもこれも、彼の笑顔がみたいから。

かわいい我儘…だからでしょうか。







「明日はナポレターニが食べたい。」

「えっ?ナポリタン?」



訂正。
…やっぱりかわいくはないかもしれない。


(ナポレターニ。ドライフルーツたっぷりクッキー)(……はいはい、わかりました)




END



あとがき


…はい、ありがとうございました。

黒澤です〜今回はスパナ夢ですがいかがだったでしょうか。


私のサイトでスパナ夢といえば「スパナ観察記録。」だけだったので

じっくり一つの話書くのは初めてでした。


でも結局スパナ観察記録。の紫騎ちゃんと
スパナの日常をイメージして書きました。


気になる方はHP「♪四季を歌う鳥」を覗いてみて下さ…
現在進行形で覗いてくれてますよね。ありがとうございますっ!


今回はほのぼの夢だったのですが、皆様に楽しんで頂ければ幸いです。


では、この辺で…また機会がありましたら会いましょう。



黒澤涼子

09/03/25


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