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サクラサク、四月3―雲雀連載夢4話。頑張っている主人公に幸せが…?
【ちょっとだけ近づけた。〜学食へのお誘い〜】


「あ〜、放課後すぐ帰れるなんて何ヶ月ぶりだろう…
やった〜!」


遅刻してきた罰として命じられていた掃除が
やっと昨日で終わった私。


これで窓拭きから開放される!


(雲雀さんとは当分会えないけど…)


そこがちょっと…いやかなり残念。

雲雀さんが呼び出してくれない限り、委員会でしか
彼に会うことができない。



いっそこのままずっと掃除してた方が良かったかな。

そうすれば毎日雲雀さんに今日の作業の報告ができるのに。



そう友達に漏らしてみたら


「紫騎、……あんた頭のネジ3本くらい
抜けたんじゃないの?優等生だったのに」


と言われてしまった。




だったのにって、過去形?

い、今だって一応成績は優秀なんだからね!?



「はぁ…雲雀さん呼び出してくれないかな…」



なんて淡い期待を持ってみてももう放課後だ。

仕方ない。友達と帰ろう。



「仕方ないって私とはしょうがなく一緒に帰るの?
呆れた」

「そ、そんなことないよ!?」


「……」
「すみません…楽しく帰ろうよ、ね?」



「何群れてるの」


どきーっ!


友達が真似しようとしてもできないほどの低いこの声。


「雲雀さん!」


「帰るの?」

「はぃ!雲雀さんは何か私にご用ですか?」



「別にないよ。ただ群れないように注意しにきただけ。」


「わかりました!群れないように帰ります、ね?
花ちゃ―あれ?」


いつの間にか花ちゃんがいないんですけど。


「さ、さっそく群れないように先に帰ったみたいですね。
私ももう帰りますね、さようなら!」



くるりとUターンして帰ろうとすると足が進んでいるのに
実際には歩が進んでいないという奇妙な現象が起きた。


後ろを振り返ると雲雀さんが私の襟首を掴んでいた。

ふ、触れられてる!


「もう帰るの?」



ええ?私に帰って欲しくない、…とか?
きゃっ、そんなこといわれたら私



「書類整理手伝っていって。」

「……はい。」



はあ。また馬鹿な期待をしてしまった。






(どうしたら雲雀さんにもっと近づけるのかな…)

書類整理を手伝って帰宅した後横になって
そんなことをぼんやりと考えこむ。



そもそも雲雀さんには、好きな人がいたりするのかな。


あれ?私はあの人に認められたいだけのはずなのに

なんでこんなこと考えているんだろう。




でももしいるなら…


そう思うと胸が痛くなっちゃう。




「雲雀さん…」


呟くと同時に浮かんでくる顔。

ふにゃりと顔が緩んでしまう。



名前を呼ぶだけで幸せな気持ちになれるなんて。
「雲雀」って名前は不思議だな。








「おっおおおはようございます!」
「おはよう。」

翌朝廊下を歩いているとさっそく雲雀さんにあって
緊張しまくりの私。


なんでもやもやしちゃった翌日に会うのかな。


「ねえ、君は今日…暇なの?」

「え?今日…ですか?」

「うんお昼。」
「お昼!?…だ、大丈夫ですけど…」



もしかしてお昼抜きで書類整理とか書類整理とか…?


(お、お昼は食べたい派なのに!)


「じゃあ応接室に来て。お昼始まったらすぐだから。」


「あ、はい!」


わかりました!というよりも早く雲雀さんは去っていった。



そして4限目の授業が終わると同時に私は廊下を
俊足で歩いた。(←変な言葉だけど気にしない)



「やあ。それじゃいこうか。」

「?行くってどこに…?」

「ついておいで。」
「…はい。」

ついておいでって…どこまでもついていきます!


なんて浮かれてついて行った先に見えたのは
「食堂」の文字。



食堂…?並中に食堂なんてあった?

購買ならいつもきてるけど…


「今新しく食堂の導入について話が進んでるんだ。」

私の不思議そうな顔で察した雲雀さんがそう答えた。



へえ、今日はその視察、かな?
いい匂いがする。


ぐ〜ぎゅるる



「す、すみません…」


最悪!

よりによって雲雀さんにお腹がなる音聞かれた…
穴があったら更に掘って中に入りたい…



「お腹空いてるんだね。丁度いいや。入るよ。」
「へっ?はい!」


雲雀さんの後に続いて食堂に足を踏み入れる。


そこには真っ白なテーブルと椅子が何席もあって
調理場では調理師の方たちが調理をしていた。


「うわぁ。」

大分整備も整っているようだった。


学食、もうすぐ始まるんだ。
そう思うとなんだかわくわくしてくる。


私も友達を誘って今度食べにこよう。


「メニューが上に書いてあるから食べたいもの言って。」


突然の雲雀さんの申し出に私はぴたりと足を止めた。


な、なんですと?

ここ、これはもしかして


「その…今から食べられるんですか?」


「そのつもりだけど。試食だと思えばいいよ。

文句ある?」


「あるはずがありません!!!!」


思い切り力を込めて叫んだ途端彼の眉がぴくりと
動いたので慌てて謝った。



嘘…雲雀さんとご飯!?


(幸せすぎてどうしよう…)


うどん、そば、カレー、親子丼に日替わり定食。

色々メニューがあって迷ったのだけれど私はハンバーグ定食をオーダー。


「ふぅん。じゃあ僕も同じのでいいよ。」


メニューを注文したら席に着くよう促された。


「あの、代金は―」
「お金は払わなくていいから。」


(いいんですか?)


試食だからいいとは言われたけれどちょっと気が引ける。


「それより早く座りなよ。」


先に座った彼に隣の椅子をぽんぽんと叩かれ
急かされた。


(!?もしかして…)


隣に座れってこと?
どうしよう?!


(私今日体育あったから汗かいてるし絶対隣に
いたら心臓聞こえそうだしおかしな行動してしまう!)



隣になんて座れないよ!

ああでもでも、座りたいです…



「早くしろって言ってるのが聞こえないのかい?」

「座ります!」



ご命令と誘惑に勝てませんでした…がくっ。



(これで気持ち悪いからやっぱり隣辞めてとか言われたらどうしよう…)


席に着くけれどそわそわ落ち着かない私。




「慌てなくてもできれば持ってくるよ。」
「そうですよね!」


食べたいからそわそわしてるんじゃないんですけどね
雲雀さん…




「それにしても君、よく窓の掃除終わらせたよね。」

「え?ええまあ一週間あればなんとか。」



早く終わらせたくて休みの日も出勤しましたから!


「あれ以来遅刻もしてないし。」
「もう遅刻しません!…気をつけますね。」


雲雀さんに会いたいがために遅刻したい気持ちも
あるけど迷惑かけたり呆れられたりしたくないもんね。



「へえ。」

そういった彼はちょっとだけ笑った。



顔が近い。格好良い。

直視できない!


目が合ってすぐ逸らしたところで丁度おばさんが
料理を持ってきてくれた。


「ありがとうございます、美味しそう!」


ゲンキンな私は一気に目を輝かせる。
先ほどのときめきはどこにいったのか。


「頂きます!」
「いただきます。」


(あ、雲雀さんっていただきますのポージングするんだ!決まってる!)


礼儀正しい人なんだなと改めて実感。

そのポーズも素敵です!



「…ん、美味しい!」
「うん、なかなかいけるね。」
「はいっ」


わぁ、学食ってこんなに美味しいものなんだ。

それとも雲雀さん監視下の元だからこれだけのクオリティなのかな。


こんなに美味しいならこれからも友達と来たいな。




「氷之咲。」
「っ!?はいっ!」

いきなり名前を呼ばれての嬉しさと動揺で
喉に詰まりかけたけど何とか気合で返事した。


「僕は週に2,3回ここに来るつもりだけど、君も来る?」

「え…」

「一緒に食べるか聞いてるんだけど。」


!?!!!!!!!!!


そ、そんな…
神様、そんなことが許されてもいいんでしょうか。


いいいいんですか!?


「ひ、雲雀さんが迷惑じゃないなら…
一緒に食べたい、です…」


「決まりだね。」


そういった彼はハンバーグを口に運ぶ。

私はこれが夢なんじゃないかと思い切り口をつねった。


「いたっ!」

「何してるの……変なコ。」


そうして私は本日二度目の雲雀さんの笑顔を
みることが叶った。


どきどきしすぎて今日は寿命が5年ほど縮まったかも
しれないと思った。


(週に2,3回は一緒にご飯…夢みたい)


なくなってしまったと思ってたつながりができて本当に本当に嬉しかった。


(よし、明日も頑張ろう!)


雲雀さんに認めてもらう為に!


続く。


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