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一歩進みたいんだ!

「加具山さん」
「ん」
「加具山さん」
「あ」
「加具山さん!」
「なんだよ?」

やっとこっち向いてくれた。
はあ・・・なんでせっかく加具山さん家にこれたのに、二人で勉強してんだろ。
ここまで来るのも、いろんな苦労があって。
練習とか練習とか補修とか・・・数えきれないほどの障害が。
特に秋丸からがすごかった・・・。
あいつところかまわずに加具山さんにべったりで・・・本当なんだあいつ。
だから、今日を無駄にすることは絶対にできない。

「つまんないっす」
「はあ?」
「せっかく二人なんっすから、なにかしましょうよ」
「・・・宿題終わらしたいんだけど」


わけわかんないって顔されて、またノートに目を移す加具山さん。
こんなのこんなの只の友達関係と変わらない。
3ヶ月前、俺が告白したのを、ようやく2週間前に認めてもらったのに。
加具山さんと二人になれる時間なんて少ないのに。
(主に秋丸によって邪魔される)

「加具山さん」
「ん」
「キスしてもいいっすか」
「は」

いきなり榛名なに言い出してる?
もしかしてあれか?あれなのか?
暑くて少し頭がおかしくなったんだな。

「悪かった榛名・・・クーラーつける」

ピッとクーラーのスイッチをいれた。
さっき暑いって言ってたからな・・・
あれは、クーラーつけて欲しいってことだったんだよなー。

「27度にしたからな。俺は普段28度なんだけど」

榛名がおかしくなるほど暑いなら仕方ない。
地球温暖化には少し悪いかもしれないが 、ここは可愛い後輩のためだ。
許してくれ。

「いや、そうじゃなくってすね」
「え、もっと下げるのか?」

こいつはどこまで地球に厳しい奴なんだ 。
とりあえず、スイッチを手にとり25度まで下げる。
ピピピ
まあさっきまでつけてなかったし、初めだけはいいか。

「これでいいのか?」
「加具山さん」
「ん?」
「俺のこと、はぐらかしてるんっすか?」

榛名の顔が真剣な表情になり。
いきなり周りのものが回って、見えたのは天井。
背中には床の冷たさ が伝わってくる。

「榛名・・・?」

恐い恐い恐い。
なに考えてるかわかんない表情。
それになにこれ?
この状況?
これってあれ。
榛名に押し倒されてる・・・

「ちょっ・・・どけ」

このままだとなにされるかわかんない
殴られる?殴られるのか俺?

「嫌です」
「榛名・・・」
「嫌です」
「・・・怒ってる?」
「・・・」

当たってるみたい。
なにがどうしてそうなったのかわからない。

「・・・っ、加具山さん?」
「ごめんな・・・」

撫でられてる・・・
加具山さんにゆっくりゆっくり頭を手で。
その手を掴み、自分の頬に持ってくる

「・・・どうした榛名?」
「温かいです・・・」

今まで野球をしてきた手。
豆がつぶれた後や、できたばかりのものがある。
努力が、野球が好きということが感じられる。

「このままでいてもらってもいいっすか」
「・・・ちょっとだけだぞ」


キスは出来なかったけど、なんか近くなれたような気がする。

一歩進みたいんだ!

「榛名・・・もういいか?」
「もうちょっと」
「お前、この状態わかってる?」
「あ」
「どいて」
「キスしてもいいっごぼっ!」
「黙れ」


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