末期症候群/水栄
ピピーッ
弁当を食べた後の授業。眠気とだるさが漂ってる教室のなか、窓の外から笛の音が聞こえた。覗いてみれば、茶色い頭の可愛いあの子
「あー…こっちに気がつかないかな」
授業を無視して、あの子に電波
(これで栄口がこっち向いたら、赤い糸で結ばれてるかも!)
なんて勝手なこと考え。気づかないとわかってる。けど、ずっと目線で君を追って電波を送り続けた。
「あ」
栄口がボールを持ってぐるんと空を見上げたとき、ちょうど俺と目があった
「こっち向いた」
急いで手を振って。栄口の目が少し開いて。授業中なのになにしてんだよ、て言いそうな顔をした。けど、少しニコッと笑ってくれて。それだけで俺の心の中はいっぱい。暑い日差しのなか、眩しい君
「栄口、大好き」
口だけ動かせば、あの子はうつむいて。ここから見える栄口の耳は真っ赤。こっちを向いて。まだ紅くなってるほっぺたを膨らませ。
「ばか」
恥ずかしそうに言う君を愛しいと思うのは
(たぶん、末期)
末期症候群
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