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暑いあつい日の放課後

練習後、疲れきったから俺と榛名で食堂の自動販売機へ一緒に来て。

「うめーっ。やっぱ水っていいな」

口を手で拭きながら。
榛名は美味しそうに喉を鳴らして飲んで。

「そうっすね、風呂上がりに飲むより美味しいっす。やっぱり加具山さんと一緒だからっすよ」
「…榛名さー、風呂上がりに水飲むんだ…へえ…」
「なんっすか、それ。別にいいじゃないっすか、てか俺の口説きは無視ですか?」
「意外に庶民的かなーとか思っただけ」
「なんっすか、それ。(最後まで無視…)」

微かに笑えば榛名にムッとする。
それに少し笑いながら。

「あ、わりぃ…ちょっトイレ行ってくる。」

コップを置いて、食堂の裏のトイレへ。
いそいで走って。
だってせっかくの2人っきり。
俺だって嬉しい、榛名が嬉しそうなのも見てわかる。

「行ってらっしゃーい」

手をふりながら走りさったのを見た後、ふと机の上を見ればさっきまで香具山さんが飲んでいたコップ。

(わ!加具山さんの?飲んでいいよな?)

ごくっ

「はあ、スッキリし…え?榛名何してる!?それ俺のじゃん!」

帰ってきてみてみれば榛名が俺のコップの水を飲んでいる。
そんな俺を見てびっくりしたらしく、あわててコップを元の場所に置いて。
(欲しかったなら言えばいいのになんでだ?)

「あ…えと、そのつい出来心というかなんていうかその…加具山と間接キスしたかったんです!」
「…はあ!?」

榛名が目を泳がしてこっちを見ない。

「だから、たえられなかったんです!だって加具山さん、キスさえさしてくれないし…」
「…あれは、お前が人目がある場所でしようって言うからだろ!」

しまった、と思う。
口をふさいで。
けどもう遅い。
榛名がまっすぐこっちを見ている。
そらせない。

「あ・・・榛名?」
「じゃあ、今だったらいいんっすか?」

ジリジリと間合いをつめてくる。後ろは自動販売機で。

「えっ?いやっ、やっぱやめだ。さっきいったこと取り消しっ!近い近い!離れろ!」

キスされると思う。
てか、それしかないだろ。
あわてて、榛名と反対方向に向く。

「ばかっ、離れろって!うっ、ぎゃっ」

後ろから思いっきり抱きしめられる。
腕も一緒にされて動けない。
同じ男なのにこんなにも体格が違うなんて、少し泣きたい気持ちが。

「…榛名?」
「あのですね!俺が加具山さん、嫌がってんのにするわけないでしょ?また今度でいいです。今はただ抱きしめさして下さい」

グルンと回され榛名の体に顔があたる。
さっきよりもキツく抱きしめられ、熱い。
心臓の音が速く聞こえる。なに、この状況。
誰かに見られませんように。

「うん…ごめん、我慢ばっかさせて…」
「ただし、その時は覚悟しといて下さいね」

ニコッとしたその笑顔。裏は何を考えてるかわからない。
知りたくないし、恐くて聞けない。

「やっぱ…嫌かも…」

ぼそりと言って。

「今なんか言いました?」
「何もいってない!よしっ、帰るか。」

にっこり笑って榛名を見上げると、あいつも笑ってて。

「はいっ!」

コップをゴミ箱に捨て、暑い夏の夜に出ていこう。


暑いあつい日の放課後


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あきゅろす。
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