大学生と高校生 2 やっと帰りの時間になり、今日の同窓会が解散となる。 また会おうな、などみんなで声を掛け合いまた会える日までさようなら。 それぞれバイクや自転車で帰っていった。 榛名は他のメンバーたちに囲まれてまだ話している。 こっそりとそこから抜け出すかのように駅まで速めに歩いた。 後ろを振り返るがどうやら着いてきていないようである。 (――何故ここまで逃げているのだろう…?) 半年前、二人は“付き合っていた” 加具山がニ年の冬、二人っきりで帰ったあの日、名前を呼ばれ振り向くと抱きしめられていた。 気付いたときには、榛名の腕の中。 いまから思えば、それまでにも何度か告白のようなことをされている。 初めは冗談かと受け流していたが、途中から気付きただ逃げていた。 あの時、一緒に帰ったのは遅くなった加具山を榛名は待っていたから。 ――加具山さん、なんで逃げるんスか? ――逃げてなんか……ない 月が雲に隠されて、まわりがいつもより暗い。 笑って受け流そうとした。 けれど榛名の真剣な顔をみると、笑顔は失敗しひきつり泣きそうな表情になる。 ――…っつ! 腕を引っ張られ、榛名との距離は0センチメートル 右腕を腰に、左腕は肩にまわされた。 身動きがとれない状態。 うつ向いていた顔を上に向けられ、目があった。 数分いや、数十秒だったかもしれない。 長い時間のように感じられた。 それくらい沈黙が辛く重い。 ――好き、いえ大好きス 付き合ってほしいス 榛名に耳元で低く呟かれた。 そしてそこからの記憶があまりない。 なんとなく覚えてるのは、自分がうなずいたこと。 その後、またぎゅっと抱きしめられた記憶。 その次の日からは別に普段と変わりなく、ただ榛名からのスキンシップが多くなったくらい。 もちろん他のメンバーには秘密にした。 中には気づいてる奴もいたかもしれないけれど。 ときどきとめどなく不安に陥って、そんなときいつも榛名は気づいて抱きしめてくれた。 ただ、このままじゃいけないと思い始めた日々。 卒業するまでと自分に言い聞かせた日々。 別れようと考え始めたのはいつからだろう。 榛名と離れ一人になった瞬間、本当にこのままでいいのだろうかと ただ、このままだと榛名の将来プロになる夢の邪魔になると考えた。 離れよう離れようと思い、それが彼のためだから――… →3へ続きます [前へ] [戻る] |