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バレンタインこそ恥ずかしすぎるイベント



「はいっ!これ!」

肩を叩かれ振り返れば可愛い女の子でもない、同じ部活の後輩
それでもって、俺より身長が高い生意気な奴
(先輩達が坊主の中、髪伸ばしているし)

「え、なにそれ?」

練習後の真っ暗な運動場に照らされたライトの中、彼が鞄をごそごそと探って出してきたもの
それは可愛いリボンのついた水色の包みにくるまれた四角い箱
表面に「Happy Valentine」と印刷されたシールが貼ってあるのが見える
これってバレンタイン製品だよな…?
「加具山さんに受け取って欲しいス」
「……え」

付き合っている……
けど男から貰うのもどうかと思って持って来なかったのに、榛名からくれるなんて想像してなかった
あと、練習中に暴投が多かった理由もなんとなくわかった気がする

「加具山さん、受けとっ…!?泣いてる!?」
「泣いてない!それより手離せ…!」
「あ、でもほら顔紅いっていうか」
「……恥ずかしいだろうが」
「はい?」
「こういうこと普通は男女で渡しあうもので、男から男ってあり得ないものであっておかしいっていうか……ああもう!こんなに悩むなら持ってきたら良かっ……」
「もしかして用意してくれてたんすか!?」
「……用意していたら悪いかよ…どうせ榛名は女から沢山貰っているみたいだしもう別に俺から貰わなくてもいいだろ」

ぎゅっと握られたままの右手を離そうと、左手で榛名の胸を押すがびくともしない
見上げて顔を見ると、ムッとした表情

「どうせってなんスか?俺、本命から貰う以外は嬉しくないスけど」

右手を握られたまま、左手も榛名の片手で握られた

「もっ!本命とかそんなこと…!恥ずかしいだろ!あと、手を離せ!」
「嫌ス、加具山さんがなんと言おうと俺はあんたが好きです」







バレンタインこそ恥ずかしすぎるイベント







(恥ずかしいこと言うな!)
(本当のことですから)
(…っつ!おまえそういうことは二人きりのときにしろ!)
(あ、でも俺は気にしないスけど)
(馬鹿っ!!)







「榛名さー、もっと空気読も……」
「うっせーな、秋丸」
「俺だったら、あんな部員達が帰っているなか言われたら泣くね」




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