ぶん なにもしらないふりをして(馬超夢 馬超さまがこころに傷を抱えていることは、なんとなくわかっていた それが、どれだけ深く馬超さまをむしばんでいるのかなんて、私はこれっぽっちも知らなかったのだけれど 知りたいと思っていた 知ろうとは思わなかった きっと私なんかがそう容易には踏み込んではならないことだとわかっていたし、馬超さまが自ら話してくださるのを待っていたかったから だって私のできるのはそんなことくらいで 馬超さまが少しだけ哀しそうな顔をしているとき、何にも知らないふりをして馬鹿みたいに笑っていることしかできない自分に、私はひどい嫌悪を感じているのだけれど 「馬超さま」 私が呼ぶ声に、少しだけ反応する そして少しづつ震え始める肩 私を抱きしめる腕に力がこもる 「馬超さま」 私の肩に埋められた頭をゆっくりと撫でる きれいでまっすぐで まるで月の光のような銀灰色の髪が、私の指を通り抜けていった 滑るその感触が とても心地いい 「馬超さま」 衣装の背中を濡らす雫には気がつかないふりをして 馬超さまの背中に腕をまわした 「・・・みつこ」 「はい、馬超さま」 私を呼ぶ声のなんとか細いことか 何があるのかなんて聞いてはいけない わかったような顔で踏み込むことなど、できようはずもない それはいたずらに彼の傷を開くだけ ただ私は何も知らないふりをして 彼のために笑っていさえすればいいのだ 「馬超さま・・・」 そう あなたのためだけ に あとがき 前サイトのものを少し手直ししました 何が言いたいのか分かりづらい文章です 私もわかってません← おつきあいくださってありがとうございました ・ [*前へ][次へ#] [戻る] |