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ハニーキャット

「オイ…なんで居るんだよっ」

「そうだよこの時間は移動のハズじゃ…」

「分かんないけど来たときには居て…」

「つーか、どうすんだよ!計画が…」



何やら輪になり小声で話している姿をボーと眺めるしかないボク。

どうしたのかな?何か揉めてるみたいだけど…声が小さくてよく聞き取れないし話の内容がよく分からないや。

早く移動したいのに入り口に固まっている為に出たくても出られなかった。


「兎に角、ここは一旦引いて…」

「いやいやコレはチャンスかも!」

「それっどういう…」


一向に通れそうにない入り口に嫌気がさしてきた。

どうしようかな…もう通して下さいって言って退いてもらおうかな?
うん、それがイイ!

後ろのドアから出るという発想に到らず輪になって話している人達に声をかけることにした。


「あの…」

「っ!?」

「な…にか?」


意を決して声をかければ輪になっていた人達がビクッと体を震わせ一斉にコチラを向いた。

注目を浴びてると話しづらいな。


「…そろそろ授業が始まるんで退いてもらえますか?」


おずおずと言えば一人が「あぁ悪い」と言い退こうとした。
が、「バカッ」と小声で退こうとした人に向かって言い違う一人が阻止してきた。
そして…


「ねー君って八城蜜樹…君だよね?」

「えっ…そ、そうです…けど」


名前を呼ばれるだなんて思いもせず自然と身構えた。

なんでボクの名前…こんな人達知らないのに。でも、この人達はボクを知ってるみたい。どうしよ怖いな。

もしかしたらどこかで会っているのかも、と思いだそうと頭の中の引き出しを開けていく。
だが、見当たる気配がなかった。


「そんな警戒しないでよ?俺達、君に用事があるんだ」

「用事…?」

「そう、ココじゃなんだから移動しようか?」

「でも、授業が…」

胸の辺りがザワザワと落ち着かない。丁度、授業という断る名目があった為に容易に解放されと思った。
だけど、そう簡単にはいかないようだ。


「それなら大丈夫だ直ぐに済むから」

「でも…友だちが」
「…あぁ、実はそこで君の友達に会ってね君が少し遅れて行くと伝えてあるんだ」

「えっ猫田くんに…?」


その時、何故 猫田くんの名前を出してしまったんだろうか。咄嗟的なものだと思う。
咄嗟に出た猫田くんの名前に移動を持ち掛けてきた相手の口端が上がったことにボクは気づけなかった。


「そうそう猫田君に伝えてあるから大丈夫…だから着いてきてよ?」



明らかに怪しい人物に猫田くんの名前に何処からか安心してしまったのだろうボクは戸惑いながらコクンと頷いた。

頭の中で猫田くんの顔がチラつく『知らない奴についていくなよ』という言葉と共に。


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