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ハニーキャット

初めての日本の学校に戸惑っていると猫田くんの方から声をかけてくれたのが切っ掛けだった。
今では優しくて頼りになる大事な友だちだ。


「ホントに猫田くんは優しいね」

「何だよ急に…」


思っていることを口に出すと猫田くんは少し顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。

アレ…変なこと言っちゃったかな。


「だって、そう思ったから」

「ま、誉めてくれるのは有難いけど…その思ったこと何でもすぐに言うの止めろよな」

「え、何で?」


赤かった顔から真顔になり目的の教室まで歩き始めた。


「何つーか…蜜樹みたいな思ったこという奴はろくなめに会わないつーか」

「?」

「兎に角!そういう純粋さにつけ込む奴がいるから気をつけろって話」


ワケが分からないと首を傾げるとビシッと人差し指を向けられながら真面目な声で言われた。

よく分からないけど、気をつければいいのかな?


「うんっ気をつける」

「分かって言ってないだろ…まぁイイや取り敢えず一人になったり知らない奴についていくなよ」


ボクの理解しないでした返事に呆れながらもまるで小さい子に言い聞かせるような口調で言う。

そんなこと言わなくても大丈夫なんだけどな。
ボクってそんなにしっかりしてないように見えるのかな?
確かに見た目は子どもぽいけどさ。

自分がどう見られているかを考えに少し落ちこんでいると…


「別に蜜樹を信用してない訳じゃないぜ…ただ用心に越したことはないだろ?」

落ちこんだボクを気遣ってくれたのかフォローしてくれた猫田くん。


すぐ人の気持ちに気づけちゃう猫田くんってすごいな。
でも、気を遣わせちゃったのが申し訳なく思っちゃう…って落ちこんだらまた気を遣わせちゃう!
ここは、なんでもないように振る舞わらなくちゃね!


「猫田くんありがと!心配して言ってくれたんでしょ?なら大丈夫だよ気をつけるようにするね」


にっこりと笑いかけながら言うと、なら良かったと猫田くんも笑い返してくれた。

とりあえず、猫田くんに心配かけないようにさっき言ってくれたことを忘れないようにしなきゃ。
忘れないように手にでも書いとこうかな。

そう思い手元を見て気がついた。


「…ペンケース忘れたっ」

「はぁ?」

「ごめ、先行ってて!」

「あ!ちょっ…行ってる側から…」

「すぐ取ってくるから〜」


教室に忘れたペンケースを取りに走り出したボクに呆れて肩を落とす猫田くん。


「何事もなきゃいいけど…な」


そんなことを呟く猫田くんの心配も余所にボクは自ら危険へと歩みを進めていた。


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