[携帯モード] [URL送信]
悪い気はしない
珍しく臨也さんが俺に頼みごとをしたから、
つい…出来心で、いや別に前々から機会を
伺ってたとかじゃなくて!ほんと、出来心で!

「俺の言うこと、一つ聞いてくれたらいいですよ」

無理だって言われるかな、
笑われるかな。
実際は、俺が思ってたほど
臨也さんは考える素振りもなく
すんなりと受け入れた。
…嫌な感じで俺を見てたけど。


「んで?正臣君は、何がご希望かな」

にやにやした顔で、
聞いてくる臨也さんは
通常の三割増でうざい。
けど、自分から言ったことだし
仕方ない、と腹をくくって
できるだけ臨也さんが嫌そうなのを
言ってみる。

「メイド服きて、臨也さん好みのメイド演じてみて下さい」

臨也さんのにやけ顔がピシッと止まった。
その反応を見ると、
この人を揺さぶれた気になって
ちょっと嬉しくなる。
まぁ、すぐにうざい顔に戻ったわけだが。

「なになに、俺の好みを研究してるの?」

「そういうんじゃありません」

「まぁ、仕方ないなぁ…旦那様のお頼みだし?」

にんまり、と口元を歪めて
ちょっと着替えてくるね、と言って
リビングから出て行った。


「どう?似合う?」

5分くらいしたら、メイド服を着た臨也さんが
戻ってきた。
おかしい、どう考えてもおかしい。
5分で戻ってこれる、ってことは
メイド服を持っていた、ってことだ…
変態だなこの人!知ってたけど!

「な、なんで持ってるんすか…」

「正臣君に着てもらおうと思って」

それはそれは…わざわざ。
絶対着ねぇけどな。
ご丁寧にヅラまでして
ニーソックスだし。
絶対領域だよ!とか言って見せてくるけど
やはり男の足は筋肉質でしかない。

「で?俺は俺好みの感じでご奉仕すればいいの?」

「…まぁ、そんな感じです」

やはり男にメイド服は無理があったか、とか
思い始めてると
臨也さんは俺の前に正座した。


「旦那様、今日一日私は旦那様のメイドです」

優しげに瞳を細めて、いつもよりやわらかい声で

「なんなりと、お申し付け下さい」

臨也さん…、嫌、変態メイドが言った言葉
そして、いつもは見れない上から見る変態メイドに
俺は、ほんの少しの優越感を感じた。

情報屋の折原臨也に
メイド服着せて、こんなこと言わせてるぞ!って
池袋中に言いたくなるほど。



(悪い気はしない)
いつも見下されてる人を見下すのは、楽しい。


あきゅろす。
無料HPエムペ!