その瞳が大嫌い
狂いそうなほどに愛したくなるのは、
俺が相手を憎んでいるから。
その瞳が大嫌い
時々、そう本当に時々。
あの喉を、切り裂いてしまいたくなる時がある。
そこから溢れ出る蜜が甘ければ甘いほど、君がどんなに俺を愛していたかわかるから。
たまに、そう本当にたまに。
あの心臓を、潰してしまいたくなる。
そこから溢れ出る蜜が甘ければ甘いほど、貴方がどんなに俺を愛していたかわかるから。
苦しくて苦しくて苦しくて。
なぜだか心臓が苦しくて。
苦しくて苦しくて苦しくて。
なぜだか呼吸が苦しくて。
気だる気に動く脈がある肌の上に二本の指を当てて、ひとつひとつ数えてみたんだ。
暇潰しのはずだったそれはいつの間にか癖になっていて、いつだったか貴方に笑われた。
「君が嘘つく時は、いつもそうするからわかりやすいよ」
そう言って笑ったのはいつの頃の話だったろうか。
笑えた、あの頃は笑えてた。
それなのに、いつだったか君に言われた言葉。
「作り笑顔、嫌いです」
それでも俺たちはまた相手を傷つける。
だってズタズタに傷つけて、血が溢れるころ。
その血をなめて確かめたい糖度。
イコールで繋がる愛の大きさ。
「「愛してる」」
嘘とも真ともわからないまま。
下へ下へと、俺たちは堕ちていく。
end.
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