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運命なんて信じるものか




―――俺、君の事好きだよ

 そう言って微笑んだ折原臨也さんが何時まで経っても忘れられない。
 その時はとても気持ち悪いと思えて無視したが、俺はどうやら病にかかってしまったようだ。

―――俺は、臨也さんのことが好きなんだ…

 気がついたのはあまりにも遅かった。
 臨也さんはあの時、気まぐれで俺に好きだと言った。
 それを真に受けて、俺にもですとかそんな風に答えていれば俺達は偽りでも付き合うことが出来た。
 臨也さんへの恋心はずっと前からあった筈なのに、俺は認めたくないばかりにあんな態度をとってしまったのだ。
 はぁ、とため息をついてボーッとしつつ目の前にいる臨也さんを見上げる。
 臨也さんは嬉しそうにニコニコと微笑んでいて、胡散臭さがプンプン臭う

「お帰り」

 経った一言。
 それなのに氷のように冷たくなっていた胸が、どんどん温かくなっていくのが分かる。
 抑えなければいけないのに、とぎゅうとパーカー越しに胸を押さえるが、言うことを聞かない。
 溢れ出てくる。
 感情が、俺のずっと耐えてきた想いが、臨也さんの一言によって、全てが…

「い、ざやさ、ん…」
「なぁに?」

 笑っている彼の姿が、悪魔のように思えてきて思わず俯く。
 そして沈黙。
 不思議そうに臨也さんは俺を眺めるが、中々声がでない

「判ってるよ」

 三十秒ほどの沈黙の後、臨也さんが不意に言った。

「判ってる。君が言いたいこと、全部」
「…きら、いです…」
「うん」
「………うそ、です」
「知ってる」

 言えやしない。
 もう俺の馬鹿、言えよ、言ってしまえよ。


「す、き…です」
「俺も、君が好きだよ」

 嗚呼、あんなに悩んでいたのにこの人は軽々と言ってしまうんだ。
 運命は残酷である。



 ハッピーエンドじゃなくてもいいから、今だけ運命と言うものを信じるから、

どうか俺を、俺達を幸せにしてくれ


2010 07 12


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