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切なくてもそれは恋だよね

俺は…なんでこの人の所に居るんだろうか……。


「正臣君」

目の前の男、折原臨也は笑みを浮かべながら俺の名前を呼ぶ。

理由はない。ただ俺を呼び出して、俺の名前を呼ぶ。ただそれだけ……。

だけど…俺はそれに耐え切れなくて……逃げ出した。

臨也のマンションから飛び出してただ闇雲に走り抜けた。

飛び出様に見たあいつの顔は




笑っていた……――――

「…っ…」

流石に何キロと言う距離を全速力で走った為に息が切れた。

「はぁ…っ…はぁ…」

息を整えるために近くにあった公園のベンチに座る。

そして、あいつからの連絡が来てないか携帯を取り出すが着信も、受信も無い。

どうして…。

なんで…。

なんで何もしてこないんだ……?


混乱と寂しさと、切なさと不信感。

「なんで…俺今なんで…」

何故、彼からの連絡が無いことをこんなにも悲しんでいるんだろうか…?


「それは…君が俺に恋してるからさ」


びくんっと体が震える。
いつの間にか背後にいた相手に耳元で囁かれた言葉…。

「恋?バカバカしいですよ…臨也さん。俺は可愛い女の子は好きだけど、貴方みたいな男に恋するなんて事無いですよ」


強気で俺が答えると折原臨也はさぞ愉しそうに笑う。

「君がね…俺を好きなのは事実だよ。だけど、それを認めたくないのも事実。認めるのが怖いのも事実。相手が俺だってことが信じられないのも事実。でも、君は俺が呼ぶと例え大雨の中でも来てくれたよね?」

息が荒くなる。
核心をいくつもの鋭利な刃物で刺されているような感覚。

確かに、どんなに体調が悪くても、天候が悪くても呼ばれれば行ったけど……。

「普通の恋でも、そこまではしないんだ。例え結婚を約束した相手からの呼び出しでもね、大熱出して、天候は台風で、なのに理由も無い呼び出しに応じることは無いんだよ。
それだけ…君は俺に依存している。恋と言う名の依存をね。
実際、今俺がここに来て…嬉しかったんだろう?」

冷や汗が湧き出ることがよく解った。
相手の言葉一つ一つが魔法みたいで、聞く度に動けなくなる。
その姿を確認すると臨也はにやりと口元を緩め耳元で一言囁いた。



「切なくても…それは恋(依存)だよね」






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