[携帯モード] [URL送信]
絵に描いたような恋物語
例えばオレがあの人の子供を産める、正真正銘の女の子だったら
例えばあの人が「人」じゃなくて、オレだけを愛してくれていたら
例えばオレ達が、世間一般でいう普通の恋人、なら
オレはもっと幸せに、なれたのだろうか




ギシリ、とベッドのスプリングが悲鳴を上げる。耳にかかる吐息がひどく熱く感じられた。
この人とオレは所謂セフレという奴だ。女のように孕むこともないし、面倒な愛の言葉もいらない、都合のいい性欲処理の道具。
けして自分から望んだわけじゃない。最初はほぼ無理無理犯された。今ほとんど抵抗しないのは無駄だとわかっているから。…それだけ。ただそれだけのことなのに
「…何泣いてんの?」
「…っ…別に、なんでもないです」
「なんでもないならそんな風に泣かないでくれる?…萎えるからさ」
そう言いながらも目元に触れる手は、壊れ物を扱うかのように優しくて。…どうしてこんな時に限って、この人は(それすらも計算だというならば、安堵すると同時に殺してやりたいと思うのだが。)
この人がオレのことを何とも思ってないのくらいはわかっている。ただ利用できるから、傍に置いているだけ。わかってる。わかっているのに
「…すいません」
溢れ出る涙は何時までも現実を受け入れようとはしてくれなかった



絵に描いたような恋物語
(そんなものないことくらいしっているけど)



幸せになりたかったわけじゃない
ただ、愛されたいだけなんだ








あきゅろす。
無料HPエムペ!