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ものは相談なんだけど

「俺と、セックスしてみない?」

自分の耳を疑った。耳鼻科にでもいこうかな、と悩んだが、俺が返答しないといのに何も言わないということは、先程の言葉は聞き間違いではなかった。この人──折原臨也は男である俺にたった今性欲処理を要求したのである。いや、言い方を間違えたか。俺は別に男同士に偏見があるわけではない。ただまさかこの人がこのような要求をしてくるとは思わなかったのだ。
自分の過去を奪った奴が、今自分の体を求めている。
俺の頭は状況についていく気も無くて、軽く受け流すことに決めた。

「え、無理っす」
「ははは、だよね」

臨也さんも笑って流す。
かと思えばさも困ったような顔をして俺を見る。なんすか、と威嚇すると、臨也さんは一歩分近づいて怪しく笑った。

「出来れば、無条件でいいっていってほしかったんだけど、仕方ないよね?」
は?そんな短い反応も追いつかなくい程早く臨也さんは更に言葉を繋げた。

「君の親友、竜ヶ峰帝人くんだったけ?彼、今家にいるんだって」

停止しろ停止しろ、俺の思考回路。
臨也さんが帝人の話しを持ち出すときはだいたい良いことがない。しかも今の話しのタイミングに、帝人の居場所を把握しているということは──…。
最悪な結果が頭に浮かんだ。しかし直ぐに削除。大丈夫だ、大丈夫。

「彼の家、ぼろいし壁が薄いから声抑えるの大変だろうねぇ?」
「ッ!!臨也さん、あなた」
「おっと勘違いしないでくれ、まだ帝人くんはレイプされていないよ?ただ、俺がこの送信ボタンを押せば、まあそこから先はわかるだろ?」

右手に握られるは臨也さんの携帯。画面にはやれ、とだけ打たれたメール画面。受信者は誰だかわからないが、本気だ。この人は今、本気で俺の親友をレイプしようとしている。勿論自分の手は汚さずに。
強く手を握った。何故杏里ではないのか、一瞬でてきた疑惑に答えは直ぐにでた。杏里だと事件沙汰になってしまうのだ、女だから。その分帝人は男にレイプされたら一緒の恥だから、と隠し通すだろう。どこまでも自分を隠す男なのだ、折原臨也は。

「さ、ものは相談なんだけど。この状況どうする?正臣くん」
「…………」

答えなんてもうでているのに、一々聞いてくるのにこの人な性格の悪さがでている。
帝人──!!
無事でいてくれ、と下唇を噛んだ。
強く噛んで、そして、口を開く。

「……臨也さんと、セックス…したい、です」
「よくいえました」

ニヤリとわらって、臨也さんは俺の腰に手を回す。
少し、ほんの少しだけ嫌じゃないのは何故だろう。いや、気のせいだ。言い聞かせてはベッドに身を重く委ねた。


あきゅろす。
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