知ってて欲しかった シズちゃん好きだよ。 言ったらシズちゃん、心底嫌そうな顔するだろうなァ。だから、言わないんだ。 「ねードタチン、どうすればいいかなァ」 「俺に言うな俺に。」 門田がため息をついて壁に寄り掛かった。 「あーあ、言えたらどんなに楽なんだろう、ね、ドタチン。」 「俺に相談しても解決しねーよ。てか困る。」 「あはは、親友じゃない。」 「なった覚えはねーよ。」 臨也がからからと笑い、門田を見上げた。 「一緒に高校生活送ったでしょ?」 「送りたくて送ったわけじゃねえ。」 ひどーい、そう言ってまた臨也は笑う。門田が臨也を数秒見つめて目を反らした。 「泣きそうだな。」 「…………付き合い長いってだからやだ。」 なんでドタチンわかったの?下を向いたまま掠れたような声で呟いた。 「どんだけお前なんかと付き合ってると思ってんだ。」 「………伝えた方がよかった?」 臨也が自嘲気味に笑う。 「でも、もう、伝えられないんだよ?」 「……別に帰って来ないわけじゃないだろ、」 「帰って来ない。」 「絶対帰って来ない。」 するりと臨也の頬に涙が伝った。ずるずると壁に寄り掛かりながら座り込む。うずくまって嗚咽を漏らしながら臨也が泣く。 門田は葛藤していた。 静雄がいなくなる前に、言ったあの言葉を。 言うか、言わないか、 言っていいのか、言ってはいけないのか、 「戻ってこい、静雄。」 じゃなきゃお前の大事なやつ、死ぬぞ。 口の中で呟いて視線を下げた。 静雄の言葉を思い出す。 俺じゃ、駄目だから。 「シ、ズちゃん……」 逢いたい、臨也が呟いた。 (門田ァ、頼むわ、臨也のこと。) (あいつのそばにいてやってくれよ。) 恋焦がれ、さまに提出。 静→←臨みたいな。 |