逆転のち逆転
【S】誤算(2) ※
ぼんやりと天使の微笑を眺めていると、大きな瞳がフッと閉じられて、更に顔が近づいてくる。
あ、キス、された。
恋人がするみたいにゆっくりと啄まれる。
身も心もくすぐったい。
幸せすぎる…。
思考が蕩けかけて、ハッと現在の状況に思い至る。
そうだ、こんなボケっとしてる場合じゃない。
キスでとろけるのは、俺が俊希さんの上に乗っかってからだろ。
つーか溶かされてどうすんだよ。俺がドロドロに溶かしてやるんだって。
カッと目を見開き、いつの間にか拘束が解けていた手を、そっと俊希さんの肩にかける。
口内に侵入してきた舌に思わずまた力が抜けそうになるが、じわじわと上体を起こしていき形成逆転のチャンスを、
「ん、!?」
乳首触られたんだけど今!
そんな、女にするみたいに優しく触らないでくれ…。
口の中を舐め回され、乳首は捏ねくり回され、いつの間にか体は再びベッドに沈んでいた。
「ふ、ぁ、…っ」
クリクリと乳首を摘まれれば、聞きたくもないような甘い吐息が漏れる。
乳首が男にとっても性感帯だなんて、聞いてない。
目を閉じてキスと愛撫に身を委ねていると、俊希さんの舌が口内からゆっくりと出ていく。
少し目を開け、俊希さんのご尊顔を拝む。
俊希さんは満足そうにニッと微笑み、下唇をペロリと舐めた。
くは、エロい…。
と、なぜか俊希さんの頭が下に降りて、あ、ちょっと、
「ダメです俊希さん、ッ、」
ああ、舐められてる。
左乳首舐められてる。
「ン、ぁ…」
レロレロと転がすような舌の動きに耐えかね、体を捩る。
「しゅーいひ、きもひぃ?」
「そ、こで、ンッ、しゃべんないで…」
ジュルルと強めに吸われ、思わず腰が揺れた。
気持ちいい、悔しい。
左ばかり舐められて、ずっと指で弄られている右が物足りなさに疼く。
だめだ、我慢しろ、負けるな、ああ、くそ。
ちゅぱちゅぱと左乳首に吸い付く俊希さんの旋毛を見下ろすも、やはり右側にシフトする兆しは見えない。
うぅ、左が好きなのか?いや、左も右も変わらないだろ…。
「と、しき、さん、…反対側、も、」
あああ、言ってしまった…。
「はんらいも、ほしい?」
「ん…ほしぃ、です…」
誰だこれ。
自らの痴態にめげていると、俊希さんの頭が左から右にゆっくり動き、右乳首をベロッと舐め上げた。
俊希さんはそのままレロレロと右乳首を転がしかがら、唾液で濡れた左乳首の愛撫も欠かさない。
期待通りの刺激に、思わず鼻から声が抜ける。
「ンぁ……き、もち…」
「んふ、かわい」
一層強めに吸われ、俊希さんの肩口をキュッと掴む。
「んんぅッ、」
ピリピリとした快感が腰に走った。
完全に勃った。
「んは…、もうパンパンじゃん」
俊希さんが、ハーフパンツ越しに形をなぞるように、俺のちんこを撫でた。
すぐイきそうだからやめて欲しい。
「秋一…触っていい…?」
「もう、触ってるじゃないですか…」
「ちょくせつ、ってこと」
「うあ、それ反則…悶えしぬ…」
あまりのエロさに言葉通り悶えていると、俊希さんは俺のハーフパンツと下着の方のパンツを一緒にゆっくり引き下ろした。
あ、待って心の準備できてない。
フル勃起したイチモツが明るい室内で晒され、羞恥のあまり顔を手で覆う。
俊希さんは全く意に介した様子なく、そのままパンツ2種を俺の下半身から剥ぎ取ってしまった。
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