[携帯モード] [URL送信]

逆転のち逆転
【S】アプローチ(1)
あの日の告白で、俺は勝利を確信した。
絶対俊希さんは俺に堕ちる。

というか、堕とす。

こういうのはぐいぐい押せばいつかほだされて堕ちてくるというのが定番だ。
だったらあとは押すしかない。

そうと決まれば話は早い。

俺は俊希さんにガンガンアプローチをしかけることにした。










朝練が終わったあと、教室に戻ろうとしていた俊希さんの腕を後ろから掴む。
アプローチにおけるボディタッチはなかなか効果的だと思ってる。俺は。

「俊希さん」

「っんだよ」

軽く手を振り払われた。

しかし残念ながら俺はこの程度で挫けるような中途半端な恋心は持ち合わせていない。

「今日、昼飯一緒に食べませんか」

「はぁ?無理無理!俺友達と食べるし」

「友達って?」

「え、いや、………こいつら…」

俊希さんはすぐ隣にいた先輩たちを、諦めたように指差した。

つまり、先輩たちに許可をもらえればいいわけだな。

「あの、1週間置きに俊希さん借りていいですか」

「1週間置きっ!?」

絶望的な俊希さんの声が聞こえるが、無視無視。

「なんだ秋一、友達いねーのか?」
「かっわいそうなやつ!なんだったら俺らと一緒に食えよー」

先輩たちも一緒か。

……まぁ、初めはそのくらいからスタートでもいいかな。

「ありがとうございます。今週よろしくお願いしますね」
「毎週だって俺らは構わねーけど。なぁ?」
「うんうん。可愛い秋一のためだ」

「いえ、いいです。俺にも付き合いがあるんで」

「………あれ?」

不思議そうな顔をした先輩たちに礼をして、少し前を歩くサッカー部の友達の横に並んだ。

[*前へ][次へ♯]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!