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短編(戦国BASARA)
芽吹き(女主/竹中)

※学バサです




桜も散り、新緑が目立つようになったある日。
生徒会室にはふたりの人間がいた。
そのうちのひとり、綿飴のようにふわふわとした銀髪の持ち主が口を開いた。

「女主人公君、少しいいかい?」

女主人公と呼ばれた少女は終えた書類を纏め、顔を上げた。

「なんでしょう」
「この件についてなのだけれど…」

渡された書類を斜め読みし、小さくコクリと頷く。

「これくらいならなんとか。ザビー同好会から削った金額をまるまるあてればいいですね?」
「ああ、頼んだよ。秀吉には僕から伝えておこう」

そのとき、生徒会室に鐘の音が響いた。

「もうこんな時間ですか」
「今日はもうあがっていいよ。あとは僕がやろう」
「ではお言葉に甘えまして」

失礼します、と残して女主人公は生徒会室を去った。


 




差し込む西日の中、半兵衛は考えていた。

「全く、慶次君も余計な事を…」

今朝、出会い頭に言われたのだ。

「なあ、半兵衛はどう思ってるんだ?」 
「いきなり何の事だい?」
「だから、さ…」

"女主人公ちゃんのこと"


とっさに僕は何も言い返せなかった。

"よく出来た会計だよ"とか、はぐらかそうと思えば出来た。
けれど一瞬(とても認めたくないけれど)、慶次君の真剣な表情に呑まれてしまった。
その後の僕は、逃げるように立ち去ることしか出来なかったのだけれど。


「…どう思っているんだろうね」

よく出来た会計だと、そう思う。
仕事はそつなくこなすし、成績も常に上位のどこか。
秀吉も彼女には一目置いている。
…それだけの筈だ。
でもそれ以上の何かが、まだ気付けていないだけで、ありそうな気がする。
何なんだ。

「…とりあえず、今日はもう帰ろう」

そう思い、戸締まりを確認…って。

「まだ窓が開いているじゃないか…」

こんなのにも気づかないだなんて、一体どうしてしまったんだい僕は。
きっと疲れているのだろう。
今日はさっさと帰って休もう、それがいい。

そうやって窓に手を掛けた時、眼下に人影が見えた。

「女主人公君…?」

女主人公は誰かを探すように辺りを見回している。

彼女が帰ってから結構時間が経っている筈だ。
なぜ此処に、と思った時。

「っ!!」

長い茶髪を高い位置でひとつに結わえた男が走り寄ってくる。
女主人公も彼に歩み寄った。
そして何か彼が話すのを、頷きながら聞いている。

唐突に、朝の会話が頭をよぎった


「なあ、半兵衛はどう思ってるんだ?」

"女主人公ちゃんのこと"


「…まさか、」

すぐさま半兵衛は鞄を掴み、身を翻した。






 
「女主人公君っ!」

脱靴場から息も荒く駆けてきた半兵衛を認め、女主人公は目を丸くした。
その横はニヤニヤしながらこちらを見ている。

「副会長?あの、どうされました…?」

半兵衛はそれに応える代わりに女主人公の手を握りしめ、


「――君には渡さないからね、慶次君」


慶次を一睨みした半兵衛は、女主人公の手を握ったまま校門の向こうへと歩き去った。








〜あとがき〜

ふぎゃぁぁあああ!!/(^p^)\
自分、甘いのには耐性ないんですよ……!!
まさかこんな甘さの欠片も無い文章で砂吐きかけるとはorz

えー、なんかすいませんね!
"学園BASARA純情風味"を目指した結果がこれだよ!
普段歪んだ話や友情しか書かないからこうなるんですね!
精進します!


それでは微妙すぎるオマケどうぞ↓↓





(何をしているんだ僕は…!)

チラッと後方を見、

「あの、副会長……?」

(あああ、どうしたら…!)
(出て来てしまいましたが、夢吉さんは見つかったのでしょうか……?)





(もう半兵衛は気づいたのか…?)

「でも女主人公ちゃんは鈍感だからなぁ」

遠ざかるふたりを見送った男はじれったそうに、

「いいねぇ、恋だねぇ!」

からりと笑い、小猿探しに戻ったとか。



(終)

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あきゅろす。
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