[通常モード] [URL送信]

お題小説
tig





「待って下さい綱吉くーん!」
「だっ誰が待つかーーー!」



俺は今、戦略的撤退中。
敵は勿論、後ろから追い掛けて来るあいつ。
逃げている訳じゃ無い。
決して逃げてなんか…!



「待って下さいってばー!」
「だ・れ・が!」
「そんなに照れなくても良いじゃないですかー」
「照れて無い!」
「んもう、本当に恥ずかしがり屋さんですねー」
「話を聞け…!」



…いや、逃げてても良いかもしれない。
だってあいつ…、何持ってんの…!?



「っていうかお前、何持ってんだよ!」
「何ってナース服ですよー!綱吉君好きでしょう?」
「いつ!誰が!そんな事言った!!」
「訊かなくても判りますよー!男のロマンですもんねー!」



かく言う僕も大好きです!クフー!!なんて声が、背後から聞こえて来る。
はっきり言って、相当に気持ち悪い!!



「それをどうして手に持って俺を追い掛けるんだ!」
「綱吉君に着て貰おうかと!」



真っ青だ。
今俺は、全速力で走っている。
そりゃあもう、死ぬ気モードになっている時にも、引けを取らない位。
真っ赤になっていた顔から、サー…っと血の気が引くのが、よく判ってしまった。
なんてこった。
そして俺の、ボンゴレ十代目としての超直感が、激しく警鐘を鳴らしている。
危険だ。
今捉まったら、俺の身の安全は保障出来無い!



「来るなっ馬鹿ーーー!!」



俺は走った。
走って走って、走りまくった。
心臓と肺が泣き叫んでいるけれど、それ以上に、本能が悲鳴を上げている。
唯ひたすらに走って、ふと気付けば。



「…此処、何処」



そう。
俺は、迷子になっていた。





[次へ#]

1/2ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!