北の使いっ走り……
甘い話に
「いよっす、コウスケ君」
また出た。このパターンだ。
僕が振り向けば想像通り、ご存知アカリさんがそこにいた。
今日は後ろにサーナイトとネイティオを控えさせている。アブソルじゃないんだ。
「で、何の用ですか」
どうせ厄介事ならちゃっちゃと終わらせたい。
僕はもはや事務的に、アカリさんから用件を聞き出そうとした。
しかしアカリさんはあおぐように手を振って僕の言葉に答えた。
「いやいや、いつもいつもなんか用事を持ってくるわけじゃないよ」
んな話信じられるかっての。
据わった目でアカリさんを見る僕だが、アカリさんは全く気にした風もない。
「まあね、いつも私のために東奔西走してくれてる君に、ちょっとくらいお礼をしてもいいかなぁと思ってさ」
……………………。
「あー、あの、お礼とかたぶん聞き間違いだと思うのでもう一度」
「いやいやいやいや。間違ってないから」
ありえない。
あのアカリさんがお礼?
マスキッパが詰まった箱とかじゃないだろうな。
「素直じゃないねぇ……。ま、コレだ」
そう言ってアカリさんが指したのは、後ろに控えるネイティオが浮かせている箱だ。
ネイティオはそのまま箱を僕の前に移動させ(サイコキネシスの応用だろう)、僕の胸の高さで止める。
ペットボトルの箱を横向きにしたようなダンボール箱だ。
キレイでもなければ汚くもなく、中身が全く想像出来ない。まぁ大きさから言って、マスキッパが詰まってることはないだろう。
これは本当に何かいいものなのかもしれない。
ありがたく受け取るとしますか。
「ありがとうございま……」
ズシン
……なにこの重さ。ハンパないんですけど。
サイコキネシスのフォローがなくなった途端にこれだよ。
「地下で色々掘ったときのやつでさ、ダイゴさんの基地に埋めれるだけ埋めたんだけど、それでも埋めきれなくて」
はいはいべにたまとかのアレね。それがぎっしり入ってるわけだ。道理で重いわけだよ。
「お土産分取ってもまだ残っちゃって……あ、これも」
今度はサーナイトが足元に置いていた麻袋を僕の足元に移動させる。
その麻袋の形から、丸くてでっかいもんがいっぱい入ってるのがわかる。間違いない。黒い鉄球だ。
「残り物で悪いけど、それあげる」
残り物って量じゃないです。
てか絶対この人、悪いとか思ってないよ。
(裏がないわけがなかった)
家の中に運ぶとき、サイコキネシスで手伝ってくれた二匹に感謝。
[*前へ][次へ#]
無料HPエムペ!