北の使いっ走り……
相棒はパシリではありません。
はじめましての人もそうでない人も、
どうもこんにちは。
ヤマナカ コウスケです。
『ジョウトに翔る刻』や『UnRuly Girl』ではパシリとしか呼んでもらえませんが、ちゃんと名前はあるんです。
まずは僕の今の立場から紹介しましょう。
僕は賭けトレーナーライセンス持ちの、れっきとしたトレーナーです。
主力はエンペルトのシャルル。シャルルとは僕が小さいときから一緒です。
……ですが強いのはシャルルぐらいなもので。
僕はバトルはめっきり弱いのです。
そういうとき、いい相棒がいると、助かると思いませんか?
僕には、そんないい相棒がいます。
強いトレーナーの間では『シンオウ影の三強の1人』とまで言われる人物、ヨウイチロ。
僕より六つも年上だけど、その歳だけでは説明が付かないほど、ポケモンバトルが強くて、おまけに捕獲も上手い。
しかも運動神経よし頭脳よしで更にはイケメンだから黙らせておけばモテそうなんだけど、どうにも女たらしというか女好きというかのせいでモテるという段階には至っていない。
そこさえ直せばモテるのかと言われても、首を縦には振れないけれど。
そもそも何で僕がこんな人と一緒にいるかというと……。
あれは僕がまだ13歳で、中等学校を出たての頃だった。
つまりはトレーナーとしてまだ新米もいいところって頃。
(ただ、既にアカリさんのパシリだったけど)
まだ手持ちがシャルルとムックルのムククックだけだった僕は、手持ちを増やそうと草むらに足を踏み入れた。
その時、
ふにゃ、という奇妙な着地感覚と、
ふぎゃ、という奇妙な声が僕の脳に届いた。
見ると僕は人を踏んでいた。
その人はまるで、草むらに隠れるように倒れていたのである。
流れでわかると思うけど、この人がヨウイチロだったんだ。
で、なぜヨウイチロが倒れていたかというと、
「大丈夫ですか?!」と聞いた当時の僕の問いに対する答えそのものである。
「お腹……すいて……」
ヨウイチロ、当時19歳。ああなさけない。
何か用で飛行ポケモンを使えない移動があったそうで、その途中、空腹に耐えかねて伸びていたという。
そして僕は自分の食材から適当に手頃な料理を作ってあげたところ、いたく気に入ってくれて、その後しばらく行動を共にし、仲良くなったというわけ。
……ここで僕とヨウイチロがどういう関係か考え直してみようと思う。
これはもはや、相棒ではなく、ただのお抱えシェフではないだろうか。
え?僕のアイデンティティ料理だけ?
と思うと自分で自分がいたたまれない今日この頃でした。
(どこにいっても誰かの下)
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