アスベルがやんちゃすぎる件について お屋敷到着。 「でかっ!」 「ラント領主の家だもの」 「家とかの規模じゃねぇよ!」 おいおいおい厳戸台分寮と同レベル規模だぜ?アスベルってほんとにここの子供? 「お帰りなさいませ、アスベル様、ヒューバート様」 「ただいま、フレデリック」 ほんとでしたー。 「こちらは?」 「ゆきみちたくとといいます。事情があって道に迷っていて、お二人に案内していただきました」 とりあえず基本スタンスを「道に迷って財布無くした旅人」ってことにした。アスベル変な顔すんな、これで収めた方が角立たない。 「それは…大変でしたでしょう。これからどうなさるおつもりで?」 「いやぁちょっと今路銀が…この街で少し稼いで、港まで出たいんですけど。この子も気になるんですよね」 ソフィは花壇の方を見ていた。さっきも花摘んでたし、興味あるのかな。 「フレデリック、この子を知らないか?」 「こちらのお嬢様でございますか?…残念ながら存じ上げませんが…」 「おじいちゃん。この子、記憶喪失なんですって」 「記憶喪失…?それは、困りましたな。私どもの方で街の者に聞いておきましょうか?」 「いいよ、俺たちが行く。みんな、街に行ってみようぜ」 ここでもわかんない、か。本気でここの子じゃないんだな。 「日が暮れる頃にはお戻り下さい」 「わかってるって」 あー、俺もそろそろ雑用探しするかね。 「んじゃ俺行くわ。本気で文無しだから今日の夕飯も危ない」 「うちで食ってきゃいいじゃんか」 アスベルがさらっと言ったけどそれはさすがに駄目だと思う。防犯上のあれで。俺余所者だし怪しいし。 「本気で食いっぱぐれたら余りもんでももらいに行くわ。じゃな、あんま危ないとこ行くなよ」 「わかってるよっ」 駆けてく子供らの背中を見送って、俺も街の方に歩き出した。 行商人の荷運びだのなんだの、とりあえず今日は道具屋の倉庫の隅で寝てもいいことになって、一息吐いていると通りを鎧が何人か走って行った。 「…なにあれ」 「お屋敷の兵隊さんだねぇ」 「何かあったんだろうか…」 周りがさりげにざわつく中、俺は一人「鎧すげぇ。ホンモノ。重そう。あれで走れる中の人すげぇ」とか思っていた。 そんな平和な思考回路は数分後には吹き飛ぶのだけど。 「っアスベル!?」 兵士とまったく同じルートを辿るアスベル、ヒューバート、記憶喪失の子と、とりあえずシェリアまで付いて来てる詳細を知りたいね俺は! 「おお、アスベル様だ」 「兵隊が出たということは、止めた方がいいんだろうか」 「無駄むだ、アスベル様がオレらに止められるかよ」 いやそこでげらげら笑ってる場合と違うからさおっさんズ! 「あのバカー!」 俺はひとつ頭下げて子供らを追っかけた。今日頼まれた分は終わったからいいよな!? [←][→] |