しあわせになるために必要なこと おいしいご飯と快適な部屋、地平線に沈む夕日と天使の翼みたいなふかふかの雲、金色に光る月、針葉樹の柔らかい淡い色の葉、夏は吹き抜ける風が欲しい、秋の道は落ち葉で絨毯が敷かれるといい、それから、 「ヒュー久しぶりー!」 「ぅわ!?」 寒い冬には、暖かい部屋で待つ大切な誰か。 「わーあったかいねー! あ、そこのパイプそうでしょ?」 「そーそー! やーっとフェンデル全域にパイプラインができてさー!」 「長かったな……本当に」 「あ、教官、もしかして泣いてます?」 「泣いてなどいないぞ」 「ほんとかなー?」 「やめろ、パスカル。……ソフィ?」 「教官、よしよし。ご苦労さま」 「……やめてあげてくれ、ソフィ。本当に教官が泣きそうだ」 「ふふふ。ほら、二人とも? そんなところにいないで、こっちにいらっしゃいな」 「この人が離してくれれば是非ともそうしたいんです……ひゃ!?」 「え、何。どしたのヒュー」 「あなたは……ッ! 服の雪くらい落としてから入ってきて下さい!」 「あ、何冷たかった? ごめんごめん」 「早くしないと食べちゃうよー?」 「いやいやいやどんだけ食う気なわけ!? あとなんか王子が来る気満々だったから残しとかないと凹むぜ」 「じゃあ今から別にしておくか」 「その前にやることがあるだろう?」 「あ、教官復活」 「うるさい。ほら、グラスだ」 「みんないい? せーの、」 乾杯! しあわせになるために必要なこと いやまぁ、こいつらが笑ってられるなら、他にはなんにもいりませんけど。 [←] |