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ソフィの心
リチャードがラムダに憑かれてる。
むしろ俺としては、なんでみんな気付かないのか不思議だけどね。俺がファンタジー擦れしてるだけか。

「ラムダ……消さ、ないと……でも、ラムダは……」

俺はソフィの前に膝をついた。

「ソフィ」
「ゆきみち……わたし」
「ソフィがやりたくないならやらなくていいよ」

エメロードさんが何か言いかけたのをアスベルが止めた。ナイス。

「でも、わたしは……ラムダを消すために作られたんだよ?」
「でもラムダは王子に憑いてる。ソフィは王子を殺したくないんだろ?」

でも、を繰り返すソフィの頬を撫でる。髪くくり直した方がいいな、後れ毛増えてる。

「いいよ、それで。やだったら嫌だって言っていい。ソフィがそう思うんならそれに従うべきだ。俺はソフィに自我があるのは意味があるって思いたい。
だいたいこのパーティ、ソフィが大好きな人間しか集まってないんだからさ」

立ち上がってぐりぐり頭を撫でた。あ、しまった髪ぐちゃぐちゃ。

「ソフィが泣くような真似できる奴いないじゃん。そもそも王子もダチだし。…一緒に考えよ?」

リチャードと戦わなくて済む方法を。
振り返るとみんな頷いていた。嬉しくてとりあえずソフィに抱きついておいた。

「諦めるのはまだ早い。…そうだろう?」
「もち!」

一番大きく頷いたアスベルが「エメロードさん」と言った。

「リチャードとラムダを引き離す方法に、心当たりはありませんか」

エメロードさんは黙って首を横に振った。まぁそもそも「引き離す」って考えがないんだろうし当たり前か。

「…それがどういう方法にしろ、試してみるしかありませんね」
「リチャードをこのままにしていて、いいわけがないわ」
「やれることは端からやるべきだ」
「さっきの映像を見る限り、意思の疎通も可能っぽいしね」

エメロードさんがパスカルのセリフに食い付いた。

「ラムダと話し合うつもりですか?」

最初から選択肢の中にすらなかった、と言いたげな口調だった。一割くらい「絶対無理だ」も入ってる。

「ラムダだけではありません。リチャードともです」
「アスベル……」

ソフィがアスベルを見上げて、首がつらそうだったから抱きしめてた腕を解いた。
アスベルは優しくて強い目で言った。

「ソフィ、これは俺たちみんなの問題だ。
ひとりでなんとかしようなんて思うな。俺たちがいるじゃないか」
「みんなが……いる……」

ふぅ、とソフィたちが光りだした。
ソフィに自我が生まれたのは間違いなくアスベルたちがいたからだ。これはそのまま四人の絆の形。

「なんだかうらやましいな。ね、二人とも」
「ああ、そうだな……」

…もーマジでなんで俺あん時移動しちゃったかな……四人で分けたら七年後は記憶喪失じゃ済まなかったかもだから、そろそろ言うのやめるけどね。


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