考え事と独り言は多い方です
さてエメロードさん加えて研究施設に向かうわけだが、いやぁ雰囲気悪い悪い。
何せエメロードさんがソフィのこと完璧モノ扱いだし、それで微妙に空気悪くしてるの気付いているのかいないのか。ソフィはもう完璧意識ないし魔物強いしでもー。
それでもソフィ助ける見通しは立ってるから少しはマシなんだろうな。
「なにせソフィ作った人だしなー…」
俺の溜め息に反応したのはパスカルだった。
「なんか言った?」
「いやエメロードさん。ソフィ作った人の一人だから、ある程度は仕方ないかなって」
疑問符の飛んでるパスカルに説明する。なんかさりげに教官が聞き耳立ててるんですが別に秘密の話じゃないんで。おおっぴらに聞いていいですから。
「ほらパスカル言ってたじゃん、あの空中都市の時計のとこで」
機械に命があるとまでは言わないけど。
「俺らがいっくらソフィをソフィだって認識してても、一から作るとこ見てた人にはどこまで行ってもソフィは機械にしか見えないんだよ。だから多分、エメロードさんの考えは変わらない」
あの人はいつまでもソフィを道具としてしか扱えない。
「俺らが我慢するしかないのかもね。意識改革はしたいとこだけど」
なにせ千年単位だし。ほぼ寝てたとはいえ、自分の考えを簡単に手放す人じゃないだろう。
「難しいねぇ」
「ほんとにね」
二人して溜め息を吐いたらヒューバートに「遅いですよ」と怒られた。
内部の仕掛けは実に面倒だった。
「魔物対策で設置した隔壁が仇になってしまいましたね」
「装置壊れたーとか言われるよりだいぶマシですけどね!」
非戦闘要員をかばいながらはすごく大変だったりする。俺なんかイカロスいなきゃ同じようなもんだけどね。
「ところでエメロードさん」
「なんでしょうか」
「質問いいかな」
「どうぞ」
「ラムダのことなんだけど」
エメロードさんの表情が少し硬くなった。
偶然見つかった生命体。繭を作る。魔物を造る。繭の形はリチャードが作ったものと同じ。
あんまり当たってほしくない予想が、当たるかどうか。
「……ラムダって、寄生する?」
無言はそのまま肯定になった。
「…いつから気付いていたのですか?」
「…王子がさ、いきなりキレて暴れだしたときがあって。その後もちょいちょいお前大丈夫かよみたいなことしてて」
はっきり気付いたのはいつだっただろう。ストラタで会ったときにはもうリチャードじゃないってわかってた。つかあいつがアスベルに手ぇ上げる時点でもういろいろ駄目だったしなぁ…。
「他の方は」
「ヒューが可能性の低い事例として候補に上げてるくらいだと思う。信じたくないだろ、友達が魔物に喰われかかってるなんて」
「あなたはそれを信じるのですね」
「…友達が素面でソフィとかアスとかに手ぇ出すとか考えるよりマシだと思ってさ」
やっぱ価値観おかしいか、苦く笑ってから少し遅れた分取り戻そうと軽く走った。
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