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諦めは悪い方です
「…ったぁ…」

シャトルは不時着した。…帰れなかったらどうしよう。しかもなんか確率高そうだよ。
一面の荒野。

「ひっどー…」

あーやだやだ、地球人には胸に痛い光景だよまったく。やめてほしいなぁ…ていうかこれフォドラ滅んでんじゃね?

(言わないけどね)

つまりそれはソフィを助ける方法がないということだ。冗談じゃない認めるかそんな馬鹿げた話。

「とりあえず目指せ空中都市!」
『なんで先頭歩いてんだよ後衛』
「あう」

イカロス…ひどいこと言う頻度が下がってきた代わりに突っ込みが増えた…。






空には青みがかった真円。
あの青はきっと空の海の青なんだろうな、とか。
ひたすらに綺麗だな、とか。
あの星とフォドラの位置的にタイトルロゴのまんまるはフォドラなんだろうな、とか。
そーいやアスベルたちって星のこと世界って呼ぶよな、とか。いや自分たちが光らない星の上にいるって考え方がないのか。
小休止中に岩の上で膝抱えながら、そんなことを考えていた。ら、後ろから足音。

「何を考えている?」
「きょーかん」

教官は腕組みして空を見上げた。
今ってフォドラでは何時くらいなのかな…恒星は同じはずだから、あっでも確実フォドラのが半径でかいよな、地球の二日で日が登って暮れて…くらい?いや自転速度も関係あるのか…うう、俺地学は取らないんだってば。
思わず溜め息を吐いた。

「ゆきみち?」
「あっすんません。フォドラっていつ日が沈むのかなって」
「…確かに、ずっと黄昏時のような明るさだな」

空ずっとオレンジだしね。白夜が起きる地帯なのかな…でも白夜って高緯度の夏に起きる現象、いやそれは地球の地軸が傾いてるからで、だったら逆に傾いたら冬にあるのかな…いや地球の公転的には半年で逆の傾きだし、つーかここ高緯度とは思えない気温だし。今夏だとしても…あーわかんね。

「ダメだ頭パンクしそう」
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないからいっぺんやめます」

つかよく考えるとゲームの舞台でそこまで考えちゃダメだろ自分。うう暗くなりそ、これもダメだ。

「ソフィ構って来まーす」

アスベルに背負われたソフィに、シェリアが何か話しかけていた。
その表情が硬くなる。

「ソフィ……?アスベル、ソフィが返事しない」
「ソフィ。おい、返事をしろ」

…症状が進んでる。
パスカルは大丈夫って言ってたけど、俺は前に読んだ本を思い出していた。
少女の話だ。その子は陸上部のエースだったのに、体の組織がどんどん壊れていく病気にかかって、入院して寝たきりになって、脳の組織が壊れはじめたから両親が延命装置を止める許可を出した。
酸素マスクを外した顔は笑っているように見えたという。

「っ…!」
「うわっ」

アスベルごとソフィにすがりつく。行かないで取らないで…ううん、行かせない。

「…絶対助けるから」

顔を上げたらみんなが頷いた。一人じゃないってことを確認して、転送装置に乗った。


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