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「俺」の影ですから
雪の降りしきる山道。
ソフィがふっと倒れた。

「ソフィ!……すごい熱だ」

抱え起こしたアスベルがソフィの額に手を当てる。しまった風邪引かせたか。

「大変!ソフィ、これ以上は無茶だわ。引き返しましょう」
「大丈夫……」

シェリアに答えるソフィはどう見ても大丈夫じゃなくて、続けようとするシェリアを俺は止めた。

「ゆきみち、どうして」
「イカロスが。ここまで来ちゃったら進んでも戻ってもソフィにかかる負担同じだから、先に進んだ方がいいって」

でも、と言ったシェリアの声にソフィのセリフがかぶる。

「……冷たくて気持ちいい」
『…熱あるときに腕だの足だの冷やしたって仕方ないだろ。つかこの雪山で体冷やしたら自殺行為』

イカロスが言うとなぜか俺がシェリアに睨まれた。俺のせいですか。

「ごめんね……アスベル……。
わたし……フォドラに行かないと、治らないんでしょう……。
それはわたしが……みんなとちがう……からだよね……?」

…なんにも言えない。
いっぺんに口の中苦くなった俺に対して、アスベルは即言い切った。

「違わない!お前は俺たちと、何も違わないさ」
「そうよ、ソフィ」

シェリアも続けて頷く。…ううう…この辺の連帯感には勝てない…てかここで違わないって言えない自分に自己嫌悪。

「これ以上、みんなに迷惑かけたくない…」
「何を言っているんです、ソフィ!」
「気をしっかり持つんだ!」

かくん、と意識を失ったソフィを慌ててアスベルが支えた。

『…迷惑だとか思われる方が迷惑だろ』
「イカロス?」

だからなんで俺を睨むのシェリア!

『別にソフィ見捨てたっていいわけだし?…好きでやってること迷惑だのなんだのぐだぐだ言われる方がやる気失せるし。悩むならもういいよとか言えよ。やめないけど。俺らが勝手にやってんだからしのごの言わずに助けられてろっての』

ソフィを背負ったアスベルが笑う。

「イカロスも、ソフィが心配なんだな」
『心配してるのはゆきみちだろ』
「二人は同じなんだろう?」

イカロスのセリフをここまで好意的にとられたのは初めてかもしれない。やっぱアスベルすげぇ。
と思ったら周り中視線が微笑ましい。だからなんで俺を見るか。出てこいよイカロスー俺見られても困るよー…。

───………

「あ、イカロス照れてる」
『燃やされたいかこの野郎。』
「ちょ、たんまたんまっ」

なんでわざわざ片手に炎で顕現するか!
周りは笑うばかりで、俺はしばらくイカロスと追いかけっこをするはめになった。


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