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そろそろ誰か笑える話提供して下さい
水もらってくる、と部屋を出て、階段でアスベルとヒューバートに行き合った。

「バリーさん何だって?」
「お礼を言われたよ。当たり前のことをしただけなんだけどな」
「当たり前って言い切れるアスの人柄にお礼だろ?…どったのヒュー」

踊り場で壁を見るヒューバートに声をかけると、「なんでもありません」と先に階段の上へ行かれてしまった。

「…ごまかされちったい」

ごまかせてねぇけどな。
踊り場の壁にはラント一家の絵があった。見てたのは親父さん…かな。
ギスりっぱなしで亡くなったもんなー…ちゃんと話する機会なかったけど、本気で建前だけの人かな。つかなんでヒューバート養子に出したのか聞きそびれたー。

「…母さんが、親父の話をしてくれたよ」
「親父さんの?」

アスベルが隣に立って、同じく壁の絵を見上げた。

「親父は親父なりに、迷って、悩んで…いつも、俺たちのことを気にかけていたそうだ」

親父さんといっぺん派手に親子喧嘩でもしときゃよかったな。
そう言おうとしてやめた。もうどうしようもないし、アスベルが言ってほしいことは違うことのような気がした。

「……ちゃんとやることやって、親父さんが心配して化けて出ないようにしなきゃな」
「そうだな」

アスベルは笑って頷いてくれたけど、なんか外した気がした。
あーもー、何言えばいいんだ。ちゃんと誰かを元気付けるって難しい…いや、凹んでるのかどうかもわかんないんだけど。






ベラニックまでかめにんが送ってくれるそうだ。

「ギスってるよーで絆強いよなラント家」

亀車でケリーさんお手製おべんとう食べながら言った。手作りだぜ手作り。しかも俺らの分も。メニューはラント三兄弟の好きなもの、幼少期当時なのは仕方ないとしてもこの細やかな気遣い。

「ていうか会話足りなすぎただけじゃねお前ら」
「……黙って食べないとこぼしますよ」

ヒューバートがそっぽを向いた。んんん、今のはちょっと傷抉った感じか?やれやれ難しい。
…うん、ちゃんと話し合ってれば、少なくともあんなギスりっぱなしではなかったんじゃないかな。たらればの話しても仕方ないんだけどさ。

「…諦めたくないなぁ」

諦めなきゃいけなくなる前に、一番じゃなくても、今よりいい方法を見つけたい。
ソフィを治して、王子ぶんどり返して、できれば三国間良好にして。…国際会議開ければ上々かな、こっちは。

「どしたのゆきみち。食べないならもらうから」
「いやダメだから、てか育ち盛りの昼飯取ろうとかどんな罰ゲーム。…まぁ、頑張ろうって話?」

しばらく俺とパスカルの攻防戦が続き、「おとなしくしなさいっ!」というシェリアの雷で終わった。


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