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巻きますすんません
「怒ってたねぇ弟くん」
「ねー」

一緒になってけとけと笑っといて何だがそれでいいのかパスカル。
つーかこれくっつくならヒューバートとパスカルなの?どーなのそのへん、むしろ保護者っぽいけどヒューバート。

「つーかポアソンすっげぇね、あの年で長候補言われてるだけあるわ」
「でしょー?一応長って血筋で決まるんだけどさ、あたし長の家に生まれなくてよかったよ」

いろんな意味でな。

「あたしが長になってたら大変なことになってたと思うんだ!」
「ははは…自覚があるのはいいことだよ…」

つーか明るく言うことじゃねぇよ。






ついたぜアンマルチア族の里。
英知の蔵っていうと、もっとこう……十メートルくらいの本棚の森っぽいとこ想像してたんだけど。

「なんだかイメージと違うわね…」
「あー…アンマルチア族の記憶庫だもんな」

ウォールブリッジの遺跡見てんだから予想すべきだったか。超古代先進文明だもんな。
記録型のスーパーコンピュータとか、そんな感じ。

「こりゃアンマルチア族にしか扱えねぇわ…鍵かける必要あんのかね」

───でなきゃ相当やばい記録あるんだろうな

「だよなー…あーこえ」

抹殺された黒歴史とか書いてあったらどうしよう、なんて思ってるうちにパスカルがデータを出した。いいけど明らかてきとーにいじるのやめてくれ。怖い。






気分の悪くなったらしいソフィと付き添いのシェリアについて外に出た。ついでにイカロスと脳内会議。

「王子に憑いてるのはラムダで確定?」

───だろうな
───他の要素があるにしろ、仮決定はそれでいいだろ

「あとプロトなんたら言うのは」

───ソフィだろ

「だよねー」

───ゆきみち?

「ん?」

───言いたいこと
───あるだろ?

「……あの詩の災いの種、さ」

───うん

「……人間だったらどうしようって」

人を滅ぼすために使わされたのは本当はラムダだったら。
この星を食い潰しているのは、いつか食い潰すのは、間違いなく人間だ。

───シャドウの王子様みたいにか

言うイカロスに答えられなかった。

───そうだとしてお前どうすんの?
───このままここが死の星になるの黙って待つ?

「そんなの…!」

───その気もないのに知った風なこと言ってんじゃねぇよ
───諦めないならよけーなこと考えんな

「…わかってる、けど」

空から降り来た災いの種。
空を覆う海が地に墜ちる様を想像して、俺は体の芯から震えた。


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