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ヒューバートとお話、えーと…何回目?
さて道中。
泣き止んだっつってもさすがにちょっと勢いの足りないパスカル筆頭に、ヒューバート、ソフィ、教官も歩きながら何か考えているらしい。いいことじゃないのは顔見りゃ丸分かり。

「教官はカーツさん関連として、」

───根掘り葉掘り聞いたくせに今更遠慮?

「だからだって」

これ以上傷口抉ったら教官は立ち直れないかも知れない。

「ライン引きもろくにしないで聞き出すんじゃなかったなーちっくしょー」

───自分の知的好奇心を満たすためにヒューバートキレたの口実にしてな

「それ言うなって…」

───人間なんざ自分のことしか考えられない生き物だろ
───他人を慮るなんて夢のまた夢、諦めて気にするのやめれば?

「それは嫌」

つか無理だ。
少なくとも自分のことだけしか考えられない奴は最低って考えを捨てられないうちは。

「そんなやな奴でい続けるのは嫌だよ俺は。…ヒュー」

ヒューバートの隣へ行って声をかけたけどヒューバートは気付かないみたいだった。

「…なぜあなたは非難しない、疑わない、どうしてぼくを信じていられるんです…」
「考えてること全部口から出てんぜヒュー」
「っ!?」

ばっ、ってヒューバートが振り向いた。大丈夫かねこいつ。

「気配を消さないで下さい!」
「消してねぇし」
『お前がヘボいだけだ』
「イカロス、追い討ちかけるな」

ほら凹んだじゃんか、ヒューバート慰めんの大変なんだぞー、頭いいのに自分に厳しいから。

「人間不信の根は深いらしいねヒューバートくん」

わざと軽く言ってみた。ヒューバートはちょっと俺を睨んで、すぐ目を逸らした。

「…ぼくは養父に人は疑うものだと教わりました。あの人とは、違うんです」

あの人って、十中八九アスベルだろーが。丸分かりだっての。
つーか、教育的なことならちょっと反論あんぜ俺。

「アスベルも程度の差はあれど同じようなことは言われてるだろ。親父さん厳しかったみたいだし」

なにせソフィ連れてったときのセリフが「友達は選べ」だったらしいからな。どんなだ。

「幼少期の親の教育が子供に与える影響はそりゃ大きいだろうさ。でもそれだけで人間が形成されるわけじゃないだろ」

ヒューバートは俺をちらっと見て、また何か考えだした。

「ヒューはなぜなぜって言うけどさ、アスを理解できないのはそんなに嫌?」

ちょっと意地悪な言い方してみた。これに乗ってくれないとなると俺の手には余るんだがな。

「な…別にぼくはそんなつもりは…!」

よっしゃ乗った。

「よしそんなに兄貴のことが知りたいか、わかった今夜ヒューとアス同室な」
「違うと言っているでしょう!だいたい、あなたはシェリアと示し合わせて、いつもぼくと兄さんを同室にするじゃありませんか!」
「うんうん最近朝方のアスの機嫌がいいってことは、それなりに兄弟の会話はできてるんだろ?」
「それは…まぁ…ですが、それとこれとは話が別です!」
「つなげようと思えばつなげられるよ?」
「どうつながるんですか…!」
「例えば今出た会話のこと。アスはお前を信じたい。でも信じる根拠がない。信用したいから根拠を集める。それには他人の情報じゃ駄目だ、自分の得たものじゃないと」

ストラタ出たばっかのアスベルはそりゃーもう必死だった。ヒューバートの近くで話しかけて観察して、俺はフォローに苦労したもんだ。

「お前は人を信じるなって教わったんじゃない、自分以外のものは全部切って捨てろって解釈をしたんだ。アスはそれを信じられる人を探す努力をしろって解釈した。
努力なら誰だってできるよ、ヒュー。切っちまわないで探してみ?お前もちゃんとわかるって」

うーんまとまんない。言いたいこと出尽くしたし自分でわけわかんなくなる前に戻るか。
手を振って、次はソフィのところへ行く。

───詐欺師

「うっせ、そこまでひどくねぇよ」

人に説教できるほど偉くないことを忘れてただけだ。

「アスベル、お願いがあるの。あのね…私と戦ってほしいの」

…ソフィ今なんてった。


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あきゅろす。
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