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アンマルチア族の里
アンマルチア族の里は、ウォールブリッジの遺跡みたく浮かんでいた。どこに浮かんでるのやら。

「んで?まずどこ行くのよ」
「あたしの部屋。研究記録があるのはそこだから」

アンマルチア族の特徴は毛先の赤い白銀の髪と金色の目らしい。なんとなくみんなマイペース…一族全体がこれか。
さてパスカルの部屋だけども。

「うわ予想通り…」

雑然。本人にしかわかんない物の配置ですね聞き飽きたっつの。これで「片付いてる」とか前はどんなだったんだ…。

「思った通り。輝石関連の研究記録が全部なくなってるよ」
「誰かがパスカルの研究を使って、フェンデル政府の実験に協力してるってこと?」

シェリアのセリフに頷いて、パスカルは長のところに行こうと言った。

「誰が政府に協力してるか全部知ってるはずだからね」
「長ってどんな人?」
「いつから生きてんのかわかんないくらいのばーさま。お約束でしょ?」
「確かにな。これでうんと若かったら面白いんだけど」
「次の長って言われてる子はあたしより年下だけどねー」

ちなみに後ろではこんな会話がされていた。

「教官は夕飯何が食べたいですか?」
「鯛茶漬けなんてどうだ?」

鯛とか。正月に焼き物にするくらいなんだけどうち。

「…シェリア」
「きゃぁっ!急に出て来ないでよっ」
「ちょっと俺それ食べてみたい」






「お〜い、ばーさま!いるー?」

もう少し厳かに呼んでくれ年長者。
溜め息を吐いたところで、横から誰か出てきた。
子供。髪の赤みがだいぶ薄い…ていうか髪長いなぁ。長の付き人とか?

「そんなに大声を出さずともちゃんと聞こえておりますよ」

…ふと嫌な予感がしたんだけどこの子が長じゃないよな?うっかり成長止まりましたとかじゃないよな?

「お、ポアソン?久しぶりじゃない」
「……パスカル姉様、部外者を里へ連れてくるのは困ります。掟破りですよ」
「掟破りなの!?」

こんなゆるゆるな里にも掟あるんだ!ていうか駄目なら駄目って言ってくれませんかアンマルチア族の方々!なんにも言われてないよ俺ら!

「固いこと言いっこなし。ばーさま奥にいる?ちょっと聞きたいことがあってさ」

あ、やっぱこの子は違うわけね。ちょっと安心。

「ばば様はもうしばらく前から人前で話すのをやめております。ばば様とお話をしたい時はうちを通してくださいな」

あれこの子一人称…イントネーションちょっとゆるめだなと思ってたら、京言葉か?アンマルチアの方言かな…さりげなく日本風なのはやっぱ和製ゲームだからかな。

「…ゲーム、か」

ぽつんと呟いて、うっかりソフィに聞かれて冷や汗かくはめになった。






「つかパスカル姉貴いたのね」

まぁ下にゃ見えんがな。
パスカルのレポート持ち出したのは姉貴だそうで、これからその人の研究所に行くことになった。

「分かれ道の先って言ってたな」
「そうそう、弟くんがはぐれたところね」

…パスカル、お前のそれが天然なのは知ってるがヒューバートがかわいそうだからやめてやれ。

「…とりあえず里出て、かめにんいたよな。まだいたら補給して行こう。また雪の中歩くわけだし」
「そうだね。あ、みんな縄で体結ぼうか?また弟くんが迷子になったら困るし」
「………だからパスカル………」

悪気がないのはわかるが追い打ちかけるのはやめてやれったら。


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