ちょっとこの子の戦闘能力に疑問持っていいですか
俺はひとまず三人についてラントの街に向かうことにした。
一番に俺がぶっちゃった茶色の髪の子はアスベル。なんとこの落ち着きのなさで次期領主ときた。自由だなラント領、とか思ってたらやっぱりあの花畑は立ち入り禁止らしい。だろうな、なんか普通に狼的なナニかいるし。とりあえずここに疑問持つのやめるけど、悩みすぎて歩けなくなる。
わんぱく真っ盛りらしくて若干向こう見ず。いいやつだけどね。痛い目見ないと変わんないだろうなこの性格…トラウマになるような出来事じゃないことを祈るよ。
その弟のヒューバート。ちょっとびくびくしてるけど、ちゃんと優しい。兄貴よかよっぽど人間できてないかこいつ。
絶対こいつ将来兄貴のせいで貧乏くじ引くぜー。兄弟仲は良さそうなのが救いかな。しなくていい苦労しそう。
それからもう一人、ピンクの髪をツインテールにした女の子。
こっちは正真正銘の記憶喪失らしくて、ものすごい基本的なこと(怪我をしたら痛いってことも知らなかった！)がわかってない。二人曰くこの辺じゃ見ない子らしい。
名前も覚えてないんじゃなー。拾ったのがこの二人である意味よかったよな。領主の息子ってんなら行方不明の子供の情報なんかも集めやすいだろうし、人さらいなんかに見つかるよか百倍まし。
それにしてもさー、と俺はヒューバートに言った。
「なしてあんな強いかな、あの子」
「…兄さん、一応ラントの子の中では一番強いんだけど」
嬉々として剣を振り回すアスベルの横で、ピンクの髪の子が魔物を景気よく蹴り飛ばしていた。
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