兄弟喧嘩ラウンド2
闘技島ってとこに行ってからフェンデルに行くらしい。
「つか潜入って何よ。鎖国でもしてんのフェンデル」
「鎖国か…まぁ、それに近い状態ではあるだろうな。ウィンドルとは国境紛争があるし、ストラタとはそもそも国交がない」
「どんな引きこもりだそれ」
「ははは、引きこもりか。面白い例えだ」
そう言う教官はあんまり本気で笑ってるように見えなかった。
「…つーかだから俺の見てない場所で喧嘩すんなっつの!」
視界の端にアスベルとヒューバート確認。技出してます馬鹿かあいつら。あ、ヒューバートが倒れた。
「何してんのヒュー!」
「…ぼくには、ストラタを守る義務があるんです」
は?
…あー。
「アスが弱いまんまだったら置いて行こうとか思ってた?」
「大統領命令でも、足手まといを連れて行くつもりはありませんからね」
「きっつー。つかアスが落ち込んでいじいじ泣いてばっかなわけないじゃん」
似合わない。マジで。つかそうなったら俺らで頑張って発破かけるつもりはあるし。
「本当に、ストラタを守るためだけにアスベルに戦いを挑んだのか?」
「あ、教官」
教官が膝ついたヒューバートの側まで来て笑った。
「他に何か企んでいるというのですか?」
「この戦い、裏を返せばお前がアスベルに勝ちの機会を与えたかったように見えるぞ」
どんな返し方だ、とは思ったけど黙っておいた。本気でひどいこと言うなら蹴ってやればいいし。
「一度、アスベルはお前とやって負けているそうだな。兄のプライドが気になったのか?」
「何を言っているのかわかりませんね」
ごまかした。図星?うわヒューバートやっさしー。
「そういうあなたこそ。ずいぶんと変わった経歴をお持ちのようですが、一度ぼくとゆっくり話をしませんか?」
え、何だろうこの雰囲気。予想外なんだけど。つかヒューバートの怪我治さなくていいのかな…。
「ヒューバート、今シェリアが来る。……あれ?教官どうかしましたか?」
ナイスKY!クラッシャー!
俺はひそかに親指を立てた。
「なんでもない」
「ええ」
「……?」
ヒューバート、教官疑ってんのかね。確かに教官、叩いたらやな話山のように出てきそうだけど…幾月さんとか足立さんとかみたいなラスボス的隠しごとはないと思うんだよな。
───本当に?
───お前の勘はどこまで通用する?
「信じたいって気持ちまで馬鹿にされる謂われはないよ」
囁いたイカロスに小さく返した。
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