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タイミングの悪い男
リチャードの叔父さんに関して言うことはあんまりない。小物臭くはないけど二流ではあるわな。まぁ現役の騎士だった、ヴィクトリア教官?の方が強いのは当たり前だわな。
でもひとつ。

「死ぬ前に理解できてよかったですね…叔父上」

リチャードのコレが発動してるときにクーデター起こしちゃったのは、ちょっと不幸だと思う。
騙し討ちみたいに叔父さんを刺したリチャードは、その体を仰向けに転がして言った。

「ああそうだった。これは父の分です」

リチャードは逆手に握った剣を真っ直ぐ振り落とした。

「やめろバカ!」

俺はその剣を横から蹴り飛ばした。
からんからん音立てて転がってく剣を見送って、リチャードはゆっくり俺を見た。

「…なぜ邪魔をする」
「人間死んじまったらただの肉の塊にしかならねぇんだよ!お前肉の塊バカにするほど間抜けだったか!?」

そのすぐ後、デール公が入ってきて、リチャードはそっちに行ってしまった。
叔父さんの側でシェリアが祈っていて、側へ行くときっと睨まれた。

「…あの言い方はどうかと思うわ」
「事実だろ。死んじまったら、もう誰にもどうにもできないんだからさ」

膝をついて見開いたままの叔父さんの目を閉じさせた。
生きていないものの温度だった。






リチャードの戴冠式には出なかった。
大輝石の広場で、ぼんやりとラントは大丈夫かなぁとか考えていた。


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