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キレてみた
暇だから床の掃除とかしてみた。だって血溜まり…やめてほしい。
外から音が聞こえるからアスベルたちはちゃんとやることやってんだろう。

(…ほんと、どーしたかね王子)

汗でつめたい額の髪をよけると青白い顔が覗いた。血を流したせい、だけならいいけど。

(生田目と似た感じ)

一つだけの考えと感情に支配されて他のものを排除する。

(でなきゃ多重人格とか…?あー無理わかんない、王子早く起きないかな)

壁にもたれさせた王子の隣に座る。無理だけどな、まだそんな時間経ってないだろ。
ぎい、と扉が開いた。

「…ゆきみち?」
「アス!」

三人とも大きな怪我はなかった。よかったーうっかり兵士詰め所とかの扉うっかり開いてなくて!(時々アスベルたちの評価が低すぎる自覚はある)

「リチャードは、」
「まだ起きないよ。運んでもらえる?俺そんな力ないし」

頷いたアスベルの鼻先を何かが掠めてった。

「詰めが甘いな、アスベル」

だん、と床を鳴らしてまた誰か降ってきた。うわまたこの人もかっけぇな、ナイスミドル。

「教官…」
「え、何知り合い?」
「…俺の、騎士学校時代の、教官だ」
「今はセルディク王の騎士団員だがな」

後ろから二人ほど兵士が来た。「教官」もすっかりやる気らしい。
アスベルが苦い顔で剣の柄に手をかけた。

ぷちん。

「…うんちょっと待とうか」

ふふふ、と笑うとアスベルの肩がびくっと跳ねた。

「ふざけんなだよねー騎士学校いたまんまなら王子殺さなきゃだし領主継いだら七年ぶりに再会した弟におん出されるしどっち転んでも不幸とか選べなくね?アスベル熱出すしーなんか話聞いてたら病人無理やり連れ出そうとしたらしいじゃんかどんだけアスベルヒロイン扱い。閑話休題。病み上がりで首都行ったらまた追っかけられるし王子?死んじゃったよーとかマジふざけんな。王子見つかったけどゆっくり話すどころじゃねぇし。しまいにゃ王位奪還作戦に参加決定だし。いやソレに文句はねぇけどできりゃ殺してほしくないなーって俺のわがままだけど、騎士学校時代の知り合い全員敵方とかどんだけ不幸?何コレ。ねぇ何コレ。アスベルなんか悪いことしましたかーなんか理不尽な気がすんの俺だけ?ねぇ俺だけ?ああそーかよ!イカロス!」

こめかみ撃ち抜いてイカロスを呼ぶ。おー驚いてる驚いてる。ちょっと申し訳ないがそこの「教官」ぶっ飛ばすついでに巻き込まれろ兵隊AB!

「マハラギオンッ!」
「ちょ、室内で炎は…っ」






結論から言うと、「教官」たちは火傷だらけだけどどうにか無事、巻き込みかけたアスベルたちに説教されました。すんません。


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