きらきら王子
うん。
今なんて言いやがったこのぺるそないと達(仮面付けてるから)。
「リチャードが…!」
こっちが驚いてる間に向こうはすっかりやる気で、仕方ないからソフィに当て身やってもらって逃げた。
「とりあえずわかったことは、最近なんかあったこと、公式発表じゃ王子は死んだことになってるらしいこと」
死んだなんて信じない。お前も七年前切り抜けたんだろ?
「あとアスが王子と仲いいのはばれてること。…やっぱおかしくないか、なんで王子死んだって言ったくせにアス追っかけんの」
「…聖堂へ行こう」
アスベルが青ざめた顔で言った。くそ、神様そんなにアスベル嫌いかよ。アスベルいじめすぎだし。親父さん死んで騎士諦めて久しぶりに会った弟はああでこうだし、この上王子にまでなんかあったわけ?
「地下の通路がまだ使えるかもしれない。…何もしないうちに諦めるなんてできない」
「つかあのぺるそないつの言動からして、生きてる可能性のが大だと思うね」
明らか「居場所知ってんだろ教えろ」的なセリフだったしね、今考えるとだけど。言われてるときは本気わかんなかったもんなー。
「つかソフィ、扉は壊すもんじゃなくて開けるもんだっつの!」
「?」
「首傾げるな!…ああもうちょっと保護者、どーにかしてよこいつ!」
「そうだな…今度鍵開けのやり方を教えておくよ」
「まさかのピッキング!?つかできるのかよ!」
「え、騎士学校時代に隣の部屋の先輩が教えてくれて」
…アスベルの騎士学校時代が激しく心配になりました。
相変わらず地下はじめじめしててコウモリと幽霊の巣窟だった。
七年前は焦ってたから全身全霊でシカトしてたけど、アスベル達来てたなら倒しといた方よかったかね。
ふと先を見ると、光苔の僅かな光も反射してきらめく金色。
「あれ王子じゃなきゃ泣くな俺」
「どちらにしろ、こんなところに一人じゃ危ない。連れて行こう」
「お前ほんといい奴ね」
だからアスベル大好きなんだけど俺。
駆け寄るとやっぱり王子だった。うわ美形!きらきら度上がってるし!
「つかお前も背ぇ伸びたわけねむかつく。縮め縮め!」
「うわ、わっ」
膝ついてるのをいいことに頭をぐりぐり押してやった。ヒューバートにもひそかに抜かれそうなんだよな…むかつく。俺は日本の男子高校生の平均だっつの。稲葉でもちゃんと勝ってんのクマくらいだってのに。
「こら、ゆきみち!やめないか、失礼だぞ」
「知らね。俺ウィンドルの人間じゃないし」
日本には法律上身分差はないんだぜ。所得格差はあるけど。
つか王子髪さらさらなんだけど!超きもちいい!流石王族髪質いいわー。
「さて王子いじりも終わったし、ソフィ、治癒術やろ」
「うん、わかった。…おうじいじりってなに?」
「愛のあるいじめ」
「…ゆきみち」
半眼のアスベルはシカトでイカロスを呼んだ。あーでも治療終わってからいじった方よかったよなー。キツそう。ちょっと反省。
「いたぞー!」
「うわぺるそないとマジうぜぇ!」
ここまで来ちゃいますか。しかも今味方呼んだね。逃げた方よさげ?
「王子、ここって一本道?」
それだと絶対街戻らないとだけど、門はきっとふさがれてる。
「いや、この先に直接外に出られる入り口がある。一度ここに身を潜めて、出る機会を伺っていたんだが」
「伺ってらんねぇな。とっとと行こ、案内して」
傷は治したけど体力の落ちてる王子を気遣いながら進んだ。やせ我慢は体に悪いぜ王子。
「ていうかここ扉ってより石じゃん!」
この通り方は予想外だぜ。…おーいアスベル落ち込むな、行くぞー。
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