またねラント
そして俺が街の片付け手伝ってる間に兄弟喧嘩してヒューバートがアスベルおん出すなんて誰が予想するよ!
「バカー!こンのアホ!せめて俺がいるところでやれよ!」
「あなたがいないからやったんですよ。いたら口出しするでしょう」
「ッたり前だろ!」
親父さんにぶつけられなかったフラストレーションもついでにのしつけやがったぜこいつ。自覚あるから「俺のいない時」なんだろうけどな!
俺さぁ今日みんな集めて俺違う世界の人間だよって話するつもりだったの。前段階でこいつらちゃんと話すべきだなぁと思ったの。どうやって話進めたらいいか手伝いしながら超考えたの。それきれいにシカトしてくれたからね!
「しかもこの天候でおん出すか!雨具なんか持ってないだろアスベル!」
ついて行ったらしいソフィ(仮)が持っているはずもない。
「ああもうお前鬼か!もしくはツンデレか!」
「なんですかそれは」
「お前俺がうち帰ったらツンデレ眼鏡っ子の奇行つって2ちゃんに晒してやる」
「なんだかわかりませんがその面白い呼称はやめて下さい」
とりあえず雨具届けにアスベル達追っかけることにした。
「シェリア!雨具貸して雨具!三人分!」
「…どうする気?」
「アスベル追っかける!あいつ気にしないで歩いて高熱出すタイプだろ絶対!」
シェリアが若干青ざめて雨具を貸してくれた。心当たりあるんだ…つか綺麗になったなシェリア。観察する時間がないのが惜しいね。
「んじゃ行ってきます!」
「アスベルとあの子をお願い!」
「らじゃ!」
今シェリアあの子って言ったな…まぁ、目の前で死んだらしいし。ソフィだって信じるのは難しいだろ。ホントにそうかはともかく。
結構ざあ降り。早足なせいでカッパの内側が暑い。張りつくようきもちわるい…。
ソフィ。
死んでしまったはずなのに、またアスベルの隣にいる少女。
七年前と変わらない姿。周りの認知度からして幽霊なんてオチはないだろう。俺霊感ないし。
無くした記憶。尋常じゃない身体能力。俺は誰かに似ていると言った。アイギス、鉄の乙女。心を知らない機械人形。
記憶喪失、でクマを思い出した。あのままで生まれたからそうなる前の記憶なんてなかった。
無くした記憶は、元々記憶なんてない、ということ。
「っ!」
ぬかるみに足とられかけて慌ててバランスとった。…俺、今、何考えた。
「…そんなマンガみたいな話、そうそうあるもんか」
ソフィも人間じゃないかも、なんて。
ああもうバカだな俺、ファンタジーズレしてるからすぐこういう話に頭シフトする。
必死で振り払いながら、それでもその「マンガみたいな話」をすでに二回俺は経験していた。
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