希望を抱えていた
<……そうだな
確かに人間はどうしようもない生き物だ>
え、そこ肯定しちゃっていいの。はらはらしながら続きを待つ。
<もちろん俺も、そんなどうしようもない人間の一人さ
だが……お前は知っているはずだ
人間は決してそれだけじゃないと>
コーネルさん、は、ラムダの闇を照らせる唯一の要素だ。でも一つきりのあまりにも大きすぎるそれを、使うのがちょっと卑怯な気がしている。観念論でラムダに勝てるとは思わないけど、いいように利用してる感じがして、どうにも。
───他にラムダが聞くカードなんざ持ち合わせてねぇだろ
「そうだけど」
後でコーネルさんを拝んでおこう。よく知りもしない人なのにごめんなさい。
<誤解から悲劇が生まれ、その悲劇がさらに大きな悲劇を生んだ
お前がこの世に生まれてやりたかったことは、そういう悲劇の連鎖なのか?
悲劇の始まりには、いつもお前の悲しみがあった
そして、その悲しみから生まれた行動の結果も、お前をさらに孤独にするだけだった
お前を育てたコーネルさんは、悲しませるためにお前を育てたんじゃないはずだ>
結局、コーネルさんの望みは何だったんだろうか。星の核へ、その意味を知っている人は誰もいない。ラムダの排斥が叫ばれていた中、未来のことを話せる人なんていなかっただろう。コーネルさん、あんたは、何を望んでラムダをこの星へ送った?
<コーネルは……我に生きよと言った
人ではない我……人の形を持たない我に>
誰だったかな、もしくは何だったかな。人間はまだ、人間じゃないものを受け入れるには早いって、どっかで読んだ。でもたまに、やたらと懐の広い人に出くわす。俺はそれで、たまに卑屈になる。心狭いなあとか、いろいろ。
それでお説教食らうんだ、同じことができる必要はないんだって。
<生きるとは何かなんて、俺には簡単に答えられない
だが、これだけはわかる
お前を育てたコーネルさんは、お前にこの世界を、もっと知ってほしかったんじゃないか?
生きて、生きてこの世界を知ってほしかったんだ>
よく学びよく育て。その先でコーネルさんは何を期待したんだろう。星の核もその一巻なのかな。星に成り代わることさえ考えたラムダ、もしかしたら星そのものの記憶とかも継げるんだろうか。……ダメだわかんない、真実は闇の中チェシャ猫も闇の中、ってか?
<しかしお前は、生きることで悲しみだけを知ってしまった
だけど世界には素晴らしいこともたくさんある
コーネルさんがお前に見せようとしていたのは、そういう世界だったはずなんだ>
<……コーネルが、見せようとした世界……>
信じられるか、信じてくれるか? ここは意外と捨てたもんじゃないって、お前は信じてくれるだろうか。
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