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どれを悔やめばいいのやら
「僕は兄さんの弟…だよね?」

性格悪そうな眼鏡のおっさんを見送っていると、そんな声が聞こえた。

「何言ってんだよ。当たり前だろ?」

ヒューバートは泣きそうな顔をしていた。…ここであえて養子展開だったら鬼だな。ヒューバートスレたらどーしてくれんの。






宿でなんだか時間が空いてしまった。どうしよ、暇。
今夜は王子に城を案内してもらうことになっている。…また止められてない…。
何もないといいけどな、呟いて俺は仮眠をとることにした。
見た夢はニュクスだった。不吉!






王子が来ない。
護衛に止められたんじゃないかな、と思ってたんだけど、聖堂の地下見て気が変わった。

「アスベル、ヒューとシェリア連れて宿屋戻れ。できれば親父さん連れて来い」
「え?」
「ソフィ、一緒に来て」
「わかった」
「あ、ちょっと…ソフィ、ゆきみち!」

召喚器を持って駆け出す。足には自信あるんだぜ。ソフィに勝てる気はしないけど。
ソフィは途中でぴたりと足を止めた。

「…だめ」
「ソフィ?」
「この先は、進んじゃいけない気がする」

嫌な予感大当たりかよ!
歯噛みしてまた進む。うっかりでかいのに遭遇してやられちゃいましたとか言うなよ王子!

「!
ゆきみち、危ない!」
「う、わっ」

ソフィに後ろから押されてもろとも倒れ込む。首筋を嫌な風が撫でた。…飛行系?冗談だろ。

「つかでかいし!」

見上げると天井いっぱいの大きさのコウモリ。シャドウといい魔物といいなんでもありだなちくしょう!

「くっそ二人ってか一人と一体でイケるか…?ソフィ!前出ろ!」

だって俺の召喚器、魔力弾撃てるけどだいぶ威力低いし。スキル封印食らったら役に立たないことテスト前のいお先輩のごとしだからね。イカロスの火が通じなかったら実質ソフィ一人だぜー。大丈夫かなー…。

「ソフィ!ゆきみち!」

…振り返りたくない。確かめたくないけどダメだよなやっぱ!

「なんで来てんだよアスベル!」

帰れって言ったよ俺!しかも後方に見える赤毛は確実にシェリアだね、体弱いの分かってんだからあの子だけでも帰せよぉぉおおお!

「今回ばっかはシャレんなんねぇぜ!とっとと戻れ、またなんかあったら怒られんの俺じゃん!」

はいわざとむかつく言い方追求してみましたー。むぅ、詰めが甘いか。いやこいつ反抗期真っ盛りだから腹立てて帰ってくれないかなって、

「馬鹿言え!二人だけ残して行けるかよ!」

思ったけどこいついいやつでしたー!
俺今初めてこいつの長所が大嫌いだ!帰ってー!言うこと聞いてー!マジでなんかあったら嫌だよ俺!

「あああああもう邪魔ー!」

ばっさばっさ飛んでる巨大コウモリが果てしなくうざい。頭痛くなってきたよ俺。泣きたい!
そして俺はやっぱり、ここでアスベルたちを帰しておかなかったことを後悔するのだ。


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あきゅろす。
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