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戦いであること。
視野が格段に狭くなったラムダはがむしゃらに範囲攻撃を繰り返した。
その発動の隙間を縫って攻撃する。でもなんか決め手に欠ける。

「どーする教官」
「耐久そのものが桁違いだ。余程の方法でなければ決定打にはならないだろうな」

よほどねぇ、となんとなくラムダの後光輪を眺めてて思いついた。

「教官きょーかん」
「何だ?」

ああでこうでこうなって、と説明すると「やってみるか」とあっさり言われた。

「え、いいんスか。自分でいうのもアレっスけどだいぶテキトーだし」
「小細工の通用する相手か?」

ですよねー。ということで全員に話を通しに走った。……平和そうに見えるけど、会話の外側でちゃんと攻撃したり傷治したり避けてたりします、念のため。

「イカロス、アギダイン!」

ああもうコレ疲れるからあんま使いたくないのに、アスベルを捉えかけた羽の軌道を無理矢理逸らしてると、話を聞いたシェリアが「うまくいくと思う?」と言った。

「まあ痛くもかゆくもないってことにはならないだろうし、ひたすら攻撃するだけよりか方向性ある方がいいんじゃない? バランス崩せればうまいこと自己崩壊してくれるかもだし」

うまくいかなきゃ全員でタコ殴りの刑。と言うと「悪い顔になってるわよ」と突っ込まれた。やべ。

「で、俺こっちに専念するから合図するまでソフィと治療よろしくね」
「わかったわ。合図は?」
「ヒューがクロスミラージュ撃つって」

ヒューバートとアスベルは狙いがばれないように攪乱役だ。前半メインは俺で後半メインは教官。ていうか打ち合わせ中に後半メインができるのって教官だけなことに気付いた。超いきあたりばったりじゃね?
ちょっと悲しくなりながら、召喚器で頭を撃ち抜いた。

「んじゃ行くぜー。マハラギダイン!」

いくらラムダがでかいったって不必要なくらい大規模な炎、気疲れひどいからよほどのことがない限り使わない全体攻撃が合図。

「ブレイジングハーツ!」
「魔王炎撃波!」
「全弾発射ぁ!」
「ピクシーサークル! ……落ちろっ、リリジャス!」
「スカーレット!」
「アストラルベルト! 快方の光よ宿れ、」

ダミー混ぜつつ攻撃攻撃。さてラムダはいつ気付くだろう。
フィールドに舞う火の粉の、いつにも増す量に。

(そろそろか、なっ)

ちらっとヒューバートを見ると、こくりと頷いて詠唱を始めた。俺ねあの詠唱中のきらきら好きなのよ。ペルソナ呼ぶときのカードが光るのも好きでよく見てた。で、集中しろって怒られたこと数知れず。

「さてでかいの行ってみようか! アギダイン!」
「……クロスミラージュ!」

ごうっと炎が緑の羽を焼いた直後、熱された空間に十字が走る。どうでもいいけどこれといいクラックビーストといい、凍結ついてそうでついてないよね……。
さて畳みかけろよ、時間置いたら散々焼いた意味なくなる。

「砕氷刃……!」
「氷霧の白薙!」
「アイシクルペイン!」

さっきまで暑いくらいだった気温がいっぺんに下がる。具合悪くしそうなくらい。
よく熱したガラスを水の中に入れるとぱきんと割れるらしい。この外殻やたら堅いし、イケると思うんだけど。
……ラムダの本体は実体あってないようなもんだし、あれ壊したって原素がなくなるだけだよ、ね。
普段ほとんど自覚しない「殺すための作戦」に、俺は一人ふるりと震えた。


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