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あっさり再会
現在船に揺られております。子供だけで乗せていいのかね。

「つーかドア壊すのはどうかと思う俺」

俺のセリフは誰にも聞いてもらえなかった。俺さみしいんだけど二人とも。
アスベルは楽しそうに言った。

「騎士もいいけど、こうやって船で旅をするのもいいな。ヒューバートやシェリア、リチャードも連れてさ!
…あ、もちろんソフィの記憶を探すためだからな!」

ソフィはこころなしか嬉しそうに頷いた。
アスベルの将来ってラントを離れるのが前提なんだな。反抗期の一種なんだろうけど。それだけじゃないことを信じてるぞアスベル。
船はもうすぐ到着する。えーと…バロニア?駄目だバビロニアって言いそう。






速攻シェリアに会ったのはびびった。

「診察終わったン?」
「うん、街を見ておいでって」

階段からやたらでかい…モニュメント?天然の石っつか岩にしてもでかいだろ、みたいなのがあった。えーと…ばるきねすくりあす?
ウィンドルが豊かなのはアレのおかげだとかで、この国の合言葉はその属性になぞらえて「風」らしい。よくわかんないけど、すげーなーとは思う。
空に飛び立ちそうな形をしていた。






割とあっさり王子と会う段取りもついた。えーむしろどうしよう。いいのかなぁ王様調子よくないらしいのに。

「広場には大輝石があるのよ」
「って、さっきのでかいやつ?」

近くで見られるらしい。うっは見たい見たい超見たい!

「うわ迫力!きれー!」
「ちょっとゆきみち、大声出さないでよ!恥ずかしいなぁもう…」

だってこれマジすげぇ、風をそのまま固めたみたいな色の石。
ゆかり先輩と花村を思い出した。あの二人疾風属性だしなぁ…見せたい、な。
そこにちょうど王子が来たから、俺が泣きそうな顔をしたのは気付かれなかった。






「タイガーフェスティバル再び!?」
「なんだよ、イヤなのか?」
「うんまぁ正直言うとすごくイヤだ。アルドでいいだろ、リチャードの綴りLichardなんだし。後ろ三文字」
「僕はアスベルの方でもいいんだけど」
「…ねぇシェリア、俺この二人の将来がすごく不安なんだけど」
「私に言わないでよ…」

問題は俺がうっかり王子って呼ばないとも限らないことだな。恐ろしい。気ぃつけよ。
王子の見せたいものは、高台の景色だった。地平線まで緑とかアメリカでも見れるかどうかだぜ!?俺今すごい貴重な体験してるよ!
その景色を見ながらする、王弟殿下の陰謀の話の合わないこと合わないこと。ぶっちゃけシェリア一般人なんだけど。成り行きで聞かされてちょっとかわいそうだったり。
まぁある程度は予想できた話だけどな。お約束ってやつ。
それに王子が巻き込まれるってんなら話は別だけど?

「…アスベルとか、お前の話聞いてくれるやつはここにいるから」

王子の帽子を外してさりげなく顔を隠してやりつつぐしゃぐしゃに撫でてやった。うううきもちいい。髪質いいなぁ、当たり前か。

「キツくなったら言うこと。一人じゃねんだから」

帽子を戻してそれごと軽くはたくと、王子は目を白黒させながらも笑ってくれた。


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