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緊張感の欠片もない!
「……これ、が、星の核?」

名前に相応しい輝きを放つ球体に俺は溜め息を吐いた。
なんだろう……語彙の少ない自分が憎い。F〇]のブリッツボールスタジアムをもっと神々しくしたみたいな、Zの大空洞を青くしたみたいな。
あっこれ近い。多分近い。ぶっちゃけアレ噂のイカセフィロス強すぎてレベル上げしてたら飽きて積んであるけどな! 昔すぎて細かい話忘れたしな! メモカにデータ残ってっかなーあるなら帰ったらやろうかな。

「……あれ?」

あれ?
あー。
なにこれ心配いらねぇじゃん俺。

「ははッ」

終わったら、とか、帰れないかも、とか、全然関係ねぇじゃん。一番根っこのところで、俺は、今まで続けてきた日常がこれからも続くことを疑ってない。

「あー馬鹿らしー何悩んでたの俺!」
「ぅわ!?」

久々にヒューバートに飛び付いてみた。いい反応です。
やいやい言われるのは総スルー。ごめんねっ!(いい笑顔)

「やーすっきりしたー馬鹿だねぇ俺、元々脊髄反射で生きてるのに理屈ぶるからすぐ袋小路はまるんじゃん!」
「何の話ですか! 早く離して下さい!」
「や。」
「子供ですか!」

けたけた笑いながらヒューバートの背後霊と化していると、パスカルが面白いことをかぎつけたらしく寄ってきた。

「あたしも混ぜてー!」
「え、いや、ちょ、」
「よし来い!」
「ゆきみち!」

パスカルは本当に俺ごとヒューバートを抱きしめて、目を白黒させるヒューバート(を含めた俺ら)を見てアスベルたちが笑う。
これから世界とその上に乗っかってる命全部を懸けて戦うなんて、きっと傍から見たら信じられないだろう。

(そう、これでいい)

いい加減キレそうなヒューバートを解放してやりながら、俺は見えない空を見上げた。
そういえば帰る方法を探していなかった。それはお約束通り、「終わったら帰れる」ことを疑わなかったからだ。
でもきっと、出口は来たときと同じ唐突さで、この先に口を開けているんだろう。

「悩むだけ無駄だよな!」

そう言って笑う俺は、俺が望んだら帰れることを、誰に教えられるでなく感付いていた。


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あきゅろす。
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