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ラムダの中です
ラムダの繭の中は、まぁ、なんというか。

「グロ。」
「…一言で言ったわね…」

毒々しい色の花、ぶち模様のキノコ、食虫植物みたいに口(?)をぱくぱくさせてるぎざぎざの葉っぱ。
ついでに背景が枯れたツタみたいなのが何重にも編んである壁と足場ときた。足場にはあのめんどくさい黒い魔物がごろごろ。
……足立さんとこでレベル上げしようってやってた刈り取る者地獄よかマシか。
遠い目で笑う俺はシカトでエメロードさんが言った。

「それにしても驚きました……この繭の中がこれほど多くの生命に満ちているとは」

……ある意味そうなんだろうけど……ちょっと疑問だぞその言い方。
呆れてると、周りがぐらっと揺れた。

「ちょ、何!?」
「ラムダが全ての準備を終え、星の核へ向かって動き出そうとする前兆かもしれません」
「……先を急ごう」

みんなが頷き合って歩きだす。…エメロードさん、なんかヘンなこと考えてないかー…?

「どー思うよイカロス」

相変わらず返事がないながら、後ろを向け、と言いたいようなので振り返ってみた。

「ヒューバート、少しいいか」
「わかっています」
「思い過ごしであればそれは構わん。だが、どうにもうさんくさくなってきた」
「ええ。ぼくらが目を離さないようにしたいところです。ですが、ここの魔物を相手にしながらは少々キツイですね」
「今この場で問い詰めた所で、何をしでかすかわからん。もう少し様子を見よう」
「はい。兄さんたちは何も感じていないようなので、このまま黙っておきましょう」

うん、まぁ…今更二人が怪しむのなんて、俺とイカロスかエメロードさんくらいしかいないよな。
…やばい自分で凹んだ。

「つか、イカロスがあの人見張ってりゃいんじゃね?」

───俺がある程度の自立行動できるってことは知らないだろうからな
───何か起こるまでとっときたい

「おっけ、お前切り札な」
「あなたもそれでいいですね?」
「へぁ!?」

俺もできる限り見といた方いいかなーとか思ってるといきなりヒューバートが声かけてきた。

「聞いていたのでしょう?今の話は他言無用です。わかりましたね」
「いえっさー。…ばれてたのね」
「あからさまにこっちを振り向いておいて何を言うんですか」

ソウデスネ、と肩を落とすと、教官にぽんぽんと頭を叩かれた。

「お前たちには陛下を救い出すという使命があるからな。そちらに集中していろ」
「いえっさー教官、俺は突然急性難聴にかかったのでさっきの数十秒間何も聞こえなかったデスよ!」
「そんな身体疾患を抱えている人を戦いに出すわけにはいきませんね」
「そうだな。ゆきみちはシャトルに戻って待機だ」
「今から一人で戻れとか!遠いし!」

やいやい騒いでると、聞き付けたパスカルが「あたしも混ざるー!」とか言ってめちゃくちゃになった。…話の件はごまかせたがナイスとは言い難いな…。


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