騎士も結局体動かすわけだし
「ヒューとソフィに引き続きあんたもですか教官」
イカロス呼びながら呆れて言うと、教官は自分で包帯巻きながら苦笑いした。
「…とうとう教え子に負ける日が来てしまったようだ」
「違ぇし。あらかじめ言えって話だし。急に始めるからびっくりしたし」
何が起きたのかと思ったよまったく。向こうではアスベルがシェリアにぽかぽか殴られてる。心配させた罰だっ。
「思い立ったが吉日とは言うけどっ。短絡的すぎないですかねーっ」
意外と体育会系だな教官。じとりと睨むと、降参だ、と言いたげに教官は両手を上げた。
「…ときにゆきみち」
「なんですか?」
「お前の目指すものとはなんだ?」
…いきなりシリアスモードっスか教官。
俺は溜め息をついて頭を掻いた。
「…諦めない…てか、諦めなきゃならなくなる前に、やれることは全部やること、かな」
尽くせる手は全て。手の中の召喚器をくるりと回す。
どうしようもない、って思いたくない。気付いたら手の中に何もないなんてそんなこと。
「諦める前に…か」
「なんにもできなかったことありますからね俺」
冷たくなってく体。俺の知ってるそれは、教官よりずっと少ないんだろうけど。
「諦めたくないと言ったな」
「言いました」
「なら立ち止まるな、己の全てを尽くせ。その手に必ず望むものを手に入れろ」
真面目な顔で言う教官ににっこりと笑いかけた。
「今現在足止め食らってるのは誰のせいだとお思いで?」
「………………」
「テロスアステュ着いてからにしろっつの馬鹿野郎どもが」
注意:ゆきみちくんはたまにブラックが降臨します。えへ。
「…ヒューバートはアスベルに弱いね」
「え、今更じゃね?」
「……ゆきみち、当たり前のことを言うような口調で言わないで」
「今更だろ。とりあえずうっかり転げ落ちないようにアスのことしっかり捕まえとけよ、シェリア」
「それができたらどんなにいいか……」
「シェリア、転びそうなの?大丈夫?」
「……ソフィ、まず主語が違う」
アスベルとヒューバートの話してたはずなんだけどな、今。
溜め息吐きながらやってきたシャトル格納庫にて。
「………サイすごすぎ」
シャトルはきっちり直っておりました。
ていうか繰り返すけど千年前の装置だよ?よく無事に動くな…予備のパーツとかあったのか?
エメロードさんはサイと一緒にシャトルの整備、パスカルもそれに参加するらしい。
「とりあえず俺ら暇な」
「あなたはぼくと射撃訓練です」
「げー…」
ヒューバートって腕はいいけど厳しいんだよなー。いやまぁおかげさまで命中率は十中八九くらいですが。前は六くらいだったよ!すごいね!
とりあえず横で余計なこと言うのやめて下さい教官。
「いついかなるときでも目標を正確に打ち抜く集中力が必要だからな」
そんな気遣いに見せ掛けたお遊びはいらん!
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